週休3日制は多様な働き方を実現するか

2022.03.31

業界情報

パナソニックが選択的週休3日制を導入

2022年1月、パナソニックは希望する社員が週休3日で働く「選択的週休3日制」の導入を発表した。多様な働き方を提供し、社員のウェルビーイング(幸福感)を担保することが狙いで、自己学習、地域ボランティア、休日の副業などを後押しする。塩野義製薬も22年4月から希望する社員が週休3日で働く制度を導入する。全社員の7割、約4,000人が対象。学び直しなどを想定し、同時に副業も解禁する。学び直しや社外で働くことを通じた知見の吸収・人脈づくりなどにより、組織全体のイノベーション力の向上や、ワークライフバランス実現を目指す。

日本では日本IBMが04年から、ファーストリテイリングも15年から導入するなど週休3日以上の制度を設ける企業が出てきたものの、厚生労働省調査では「完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度」を採用する企業は8%とまだ少ない。政府は21年6月に閣議決定した骨太の方針で多様な働き方を行う制度として週休3日制に取り組む方針を示しており、22年に導入が進む可能性がある。

週休3日制には実質1日当たり労働時間の増加か、給与の引き下げを伴う

週休3日制を実施している日本企業を見ると、①1日当たりの労働時間を増やす、②給与水準を下げる、のどちらかを同時に行う企業が多い。①は1日8時間労働で金曜日を休みにする場合、残り4日を10時間勤務にして週当たりの労働時間を維持するもので、ファーストリテイリングやファミリーマートがこのパターンである。②は1日8時間労働の場合、1ヵ月の労働時間が最大32時間短くなる分の給与を減額するもので、日本IBMやヤフーがこのパターンである。

方法としては、事務処理や会議の効率化を図ることで労働生産性を向上させ、1日の労働時間や毎月の給与水準を変更しない方法も考えられる。例えば、日本マイクロソフトは19年8月に試験的に1ヵ月間導入した。この間、会議を最大30分までとし、対面ではなくオンライン上でのやりとりを奨励し、電力消費量が23%、印刷枚数が59%減少したという。しかし、日本マイクロソフトはその後、週休3日制を導入しておらず、この方法で週休3日を続けるのは難しそうだ。

週休3日制を導入する日本企業の動き

多様な働き方や人材確保には週休3日制以外の方法の検討も必要

企業が週休3日制を導入する理由は週3日の休みを保証することで優秀な人材や、育児や介護などでフルタイム勤務の難しい人材を確保しやすくすることや、時代に沿った多様な働き方を行う企業としてイメージを向上させることなどである。問題は、給与の減少や1日当たりの労働時間の増加が社員に受け入れられず、勤労意欲が低下する恐れや、休むと同僚など周囲の業務負担が高まることを懸念して制度を作っても利用しない社員が出てくることだろう。

リクルートは21年4月のグループ国内7社の統合を契機に、有給休暇を除く年間の休日を15日増やして145日にした。この休日を週換算すると「週休2.8日」と週休3日制とほぼ同じなる。この追加した15日の休日は社員の事情に合わせて取得でき、同僚などへの配慮もしやすい。週休3日制の導入目的を社員の多様な働き方を認めて満足度を高めることや、人材確保とする場合、1週間当たりの休みを増やす週休3日制にこだわらず、年間の休日を増やし、増やした休日の取得は社員に任せることも社内の事情と照らし合わせて検討すべきだろう。

この記事の初出は (株) 旭リサーチセンター Watchingリポートに掲載されたものです。
この記事は (株) 旭リサーチセンターの 藤井和則 が執筆したものです。

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