5Gへの期待

業界情報

◆情報通信白書に表れている総務省の5Gへの期待

2020年8月4日、総務省は「情報通信に関する現状報告」 (令和2年版情報通信白書) を公表した。毎年、日本の情報通信の現状、および、情報通信政策の動向がまとめられているものである。今回の白書は「5Gが促すデジタル革新と新たな日常の構築」特集で、新型コロナウイルス感染症の流行を契機として進みつつある新しい生活様式や、5Gの登場で移動通信システムが通信基盤から生活基盤、さらには産業・社会基盤へと進化する中、さまざまな産業・分野に及ぼす影響について分析している。5Gの「超低遅延」の特性によって、利用者がリアルタイムに遠隔地のロボットを操作・制御したり、「多数同時接続」で家庭内のスマホやPCのほか身の回りのあらゆる機器がネットに接続されるなど、社会的インパクトが大きい (図.1) 。

図.1 IoT時代のICT基盤である5G (出典:令和2年版情報通信白書)

◆5Gのメリットを活かせるアプリケーションは特長毎に分かれる

5Gの主な特長は「高速・大容量」、「低遅延」、「多数同時接続」であり、それぞれの特長にあったアプリケーションが期待されている。

●「高速・大容量」 :スポーツやコンサート中継など新しい映像体験
●「低遅延」:自動運転、遠隔医療などの現場の課題解決
●「多数同時接続」 :スマートシティなど社会システム全体最適化

eスポーツなどの映像を中心としたクラウドゲームは「高速・大容量」、「低遅延」が必須で、ゲームの領域が牽引すると思われる。また、観光地で位置に合わせた歴史や文化を映像で紹介するVR (仮想現実) ・AR (拡張現実) も期待できる。

◆5Gが期待されている産業分野

「5G」市場の立ち上がり時期には不透明な面があるが、最も期待されているのは産業分野でのDX (デジタルトランスフォーメーション) 用途である。5Gの特長には、「ローカル5G」「QoS保証」「ネットワークスライシング」といった特長もあり、企業現場の共通課題である生産性向上や品質向上、作業員の安全確保などを解決するネットワーク基盤となり得る。

「ローカル5G」は20年から免許の交付が始まった5Gの導入形態で、事業者が主体となって、自らの建物内や敷地内といった特定のエリアで自営の5Gネットワークを構築・運用・利用することができる仕組みである。そして、「QoS保証」とはネットワークにおいて通信速度の品質保証し、通信の遅延や停止が起きないようにする機能で、工場などのネットワークには重要である。さらに、「ネットワークスライシング」は、通信内容が異なる機器が多数接続されている場合、用途に応じて仮想的に分割し、適切なネットワークを提供する機能である。

これらを活用したネットワーク品質が保証された無線ネットワーク基盤があると、設備の配置変更が容易に対応でき、最適な構成で作業ができる。またAGV (無人搬送車) などのロボットに対する通信品質が保証され、トラブルが起きにくくなるなど、メリットは多いが、設備投資額が大きくなる課題も残っている。

実際に「ローカル5G」の免許を取得している自治体や企業も多く、NTTコミュニケーションズはブリヂストンと協業し、タイヤ製造プロセスにおけるセンサー類のワイヤレス化や高精細カメラによる熟練者技能分析などさまざまな活用分野を想定した検証を進めるとしている。

オリンピックは延期になったが、5Gの普及が進むことを見守りたい。

この記事の初出は (株) 旭リサーチセンター Watchingリポートに掲載されたものです。
この記事は (株) 旭リサーチセンターの成田誠が執筆したものです。

用途事例

通信アンテナカバー、MIDアンテナ基材

通信アンテナカバー、MIDアンテナ基材

通信系各種アンテナのカバー、MIDアンテナの基材

通信アンテナカバー・MIDアンテナ基材

グレード

442Z、他開発グレード
・非強化難燃グレード

特長

・優れた誘電性能(低誘電率、低誘電正接、及びそれらの小さい温度依存性)により、アンテナカバーとして好適に使用可能です。
・各種誘電性能を有するグレードラインナップを揃えており、高誘電率開発材もございます。
・耐衝撃性、安定した長期物性を示します。