次世代人工知能発展計画が牽引するデジタル中国

業界情報

◆第14次5ヵ年計画と2035年までの長期目標要綱

2021年3月に全国人民代表会議が開催され「第14次5ヵ年計画と2035年までの長期目標要綱」(以下「要綱」)が承認された。21年から25年までの中期計画の5ヵ年計画と35年までの長期計画目標がセットになった要綱だ。中国は50年までに「社会主義現代化強国」の実現を図るという目標を掲げており、35年はその中間年に当たる。21年はそのスタートとなる年でもあり、中国共産党設立100周年という特別な年でもある。
ただ、今回の要綱ではGDPの具体的な成長目標は示さず「35年に社会主義現代化を実現し、1人当りGDPを中等先進国レベルに引き上げる」という漠とした目標のみが掲げられている。一人あたりGDPが先進国の中くらいに到達すれば、14億の人口数を掛け算すれば、米国のGDPを抜くのは間違いない。「中国製造2025」への言及も全く無かったことなどから、具体的な数字を示すことを避けて、米国を刺激しないように意図したのかもしれない。
今回の要綱で特筆すべきは、「数字(デジタル)」という用語が頻繁に用いられていることで、デジタル化の発展を加速し「デジタル中国」を建設するという計画が「第5編」として別立てにまでなっている。さらにデジタルエコノミー産業のGDP比を20年の7.8%から25年には10.0%に引き上げることも織り込まれており、そのために必要な研究開発費の伸び率を年平均7%以上とする目標が掲げられている。また、研究開発に占める基礎研究の割合を足元の6%程度から8%以上(先進国は15~20%)に引き上げることも目標に設定している。
研究開発で重視する先端7分野には、AI(人工知能)、量子情報、IC(集積回路)、脳科学、ライフサイエンス(遺伝子・バイオ)、臨床医学・ヘルスケア、深宇宙・大深度地下・深海・極地探査があげられている。特にAIに関しては重点分野のトップに掲げられており、20年から始動している「新基建(新型インフラ建設)」推進事業においても、第5世代(5G)移動通信システムとともに重点投資分野として、社会実装に向けた投資が既に進められている。

◆中国製造2025とは何だったのか

15年5月に中国政府は「中国製造2025」という、25年までの10年間の製造業発展のロードマップ(行程表)を発表した。製造強国へと国をあげて産業の革新を進めようというものだった。重点分野として、①次世代情報技術(半導体、5GやAI)、②高性能NC制御工作機械・ロボット、③航空・宇宙用設備、④海上設備及びハイテク船舶、⑤先端軌道交通設備、⑥省エネ・新エネ自動車、⑦電力設備、⑧農業設備、⑨新素材、⑩バイオ医療があげられており、第一段階で25年までに製造強国となり、第二段階として2035年までに中国の製造業を世界の製造強国陣営において中堅水準に高め、経済力でアメリカに追い付くというもので、第三段階では、新中国成立100周年(2049年)に総合力で世界の製造強国のトップに立ち、軍事力でも米国に並ぶという国家戦略でもある。
ただ中国製造2025は、米国に対する挑戦と受け取られ、18年10月のペンス前米国副大統領の中国批判の演説につながり、その後の米中両国関係の緊張化へとつながっていったことから、今回の要綱でも言及されていない。

◆次世代人工知能(AI)発展計画

中国は中国製造2025の中で主力分野にあげている次世代情報技術の中でも、特にAI分野に注力しており、17年10月に開催された中国共産党第19回大会後の11月に、AI分野における以下の4つのプロジェクトの基盤分野を「次世代AI発展計画」として始動させている。

  • 騰訊(Tencent):医療イメージングAI基盤
  • 阿里雲(Alibaba Cloud):スマートシティAI基盤
  • 百度(Baidu):自動運転国家AI開放・革新基盤
  • 科大訊飛iFLYTEK):スマート音声AI基盤

次世代AI計画は、中国がAI関連産業で世界をリードする科学技術強国へ至るまでの工程表で、30年にはAI理論、技術及び応用分野で世界のリーダーとなり、経済強国としての基礎を固め、産業規模1兆元、周辺産業の規模を10兆元とするというものである。

その後18年には商湯科技SenseTime)を画像認識プラットフォーム企業として追加認定し、さらに19年に上海依図網絡科技YITU Technology):視覚計算(CGチップ)、名略科技(Mininglamp Technology):スマートマーケティング、華為HUAWEI;ファーウェイ) :基本ソフトウェア、中国平安(PINGAN):金融包摂、京東(JD.COM):スマートサプライチェーン、海康威視(HIKVISION;ハイクビション):監視カメラ、曠视MEGVII):顔認証、奇虎360(Qihoo 360 technology):安全大脳(データセキュリティ)、好未来(TAL: Tomorrow Advancing Life ):スマート教育、小米(XIAOMI):スマートリビング(スマホからデジタル家電まで)の10社が追加され、合計15社がこれまでに選定されている。このうち6社は米国のEntity List(米国再輸出規制)の対象(※印)企業だ。

◆AIによる顔認証システム先進国中国

清華大学の中国科学技術中心が発表した「中国人工知能発展報告(2018)」(グラフ参照)によると、国別のAI分野における論文数の数は首位の中国が369,588件で、2位の米国が327,034件だ。

国別のAI分野における論文数

AI、特に顔認証技術では「カーネギー国際平和財団のAI監視システムに関する報告書(The Global Expansion of AI Surveillance)」によると、調査対象の世界176ヵ国のうち少なくとも75ヵ国で監視目的にAI技術が使われており、顔認証技術はこのうち64ヵ国で使われている。同報告書では、なかでも中国は監視技術を国内で活用しているだけでなく、世界中に輸出しているメインプレーヤーだとしている。中国企業の中でも、ファーウェイは50ヵ国に対してAI監視技術を提供しており、米国などが問題にしている新疆ウイグル自治区での人権弾圧問題で話題になる顔認証を利用した監視技術で、2位のハイクビジョンとともに、優れた技術を持っているといわれている

AI監視システムの主要グローバル企業

◆中国製造2025に沿った分野に注力し技術大国となった中国

中国製造2025で最重点分野に掲げた情報技術分野、特に5Gでは既に首位の地位を固めたことが、WIPOが発表したPCT Yearly Review(下表)からもわかる。

国別国際特許出願件数

中国は国際特許の出願数で19年に米国を抜きトップとなっているが、企業別の特許数でも、5Gの通信分野に強いファ-ウェイが突出したトップになっている。中国の特許出願分野は、1位がデジタル通信、2位が情報技術、3位が音声・画像技術の分野で、中国製造2025の重点注力分野と見事に一致している。

国際特許出願企業TOP10

◆海外との交流がキーとなった中国の技術発展

78年7月米国カーター政権が、中国に科学者の代表団を派遣し、本格的学術交流が開始した。79年1月1日に中華民国に代え中華人民共和国と外交関係を結び、同月には鄧小平氏が訪米し、両国の科学交流を加速させる協定に署名し、最先端技術を導入するために、多くの留学生を米国に送り出してきた。94年に海外で就労していた科学技術人材の帰国を促し、中国の近代化に参加し奉仕することを奨励する百人計画を導入し、2016年までに約2,500名のトップレベル研究者の海外からの帰国招致に成功し、現在の研究機関のトップの多くを百人計画の研究者が占めている。さらに、海外のハイレベル人材を国籍問わず、多額の報奨で招致するのが現在の千人計画だ。

こうしてみると海外との交流が中国の科学技術の発展を支えてきたのは間違いない。現在の中国の高圧的な「戦狼外交」を継続しながらこれまでのような「交流」による発展が可能か、注視していきたい。

この記事の初出は (株) 旭リサーチセンター Watchingリポートに掲載されたものです。
この記事は (株) 旭リサーチセンターの 森山博之 が執筆したものです。

用途事例

モーターギア

モーターギア

ドア・ワイパー・シート等を駆動させるモーターに使用されるギアには、高い耐久性が求められるため、高粘度のホモポリマーが主に使用されています。

モーターギア

特長

・耐久性
・耐クリープ性
・金属代替による軽量化が可能

用途事例

車載カメラ
(鏡筒、レンズスペーサー)

車載カメラ
(鏡筒、レンズスペーサー)

車に搭載される各種カメラに使用される鏡筒、レンズスペーサー

鏡筒・レンズスペーサー

グレード

・XP640 PPA/PPEアロイ+GF40%
・DG040,DG340 PPS/PPEアロイ+特殊ガラスフィラー40%

特長

・高耐熱PA並みの高耐熱・高強度・高剛性のパフォーマンスを発揮します。
・高温環境下の機械強度低下が小さく、特殊ガラスフィラー配合により寸法変化の異方性が小さいです。
・金属部品の樹脂化に貢献することで部品コストダウンに寄与します。

用途事例

減速機(レオナ)

減速機(レオナ)

モーターから得た回転速度を減速・変速させ、必要な力を得るための変換機

減速機

製品

レオナ™

グレード

・開発品(フィラー強化)
・ポリアミドの疲労特性を活かしつつ、耐摩擦摩耗に優れた材料

特長

・耐摩擦摩耗性
・高剛性
・耐疲労特性

用途事例

高速ファン

高速ファン

サーバーやパソコンその他機器の冷却ファン

高速ファン

グレード

G793Z、G702V、G601Z
・GF強化/難燃グレード
・GFコンテンツ10%、20%、30%

特長

・比重が小さい為、軽量化を達成し、高回転化に貢献します。
・低吸水性の為、吸水寸法変化が非常に小さいです。
・耐熱性が高い為、高温環境下での変形量が非常に小さいです。
・高速ファンの他、強度が求められる加工部品に好適に使用できます。
・部品を軽量化、小型化出来る為、コストダウンに寄与します。

用途事例

通信アンテナカバー、MIDアンテナ基材

通信アンテナカバー、MIDアンテナ基材

通信系各種アンテナのカバー、MIDアンテナの基材

通信アンテナカバー・MIDアンテナ基材

グレード

442Z、他開発グレード
・非強化難燃グレード

特長

・優れた誘電性能(低誘電率、低誘電正接、及びそれらの小さい温度依存性)により、アンテナカバーとして好適に使用可能です。
・各種誘電性能を有するグレードラインナップを揃えており、高誘電率開発材もございます。
・耐衝撃性、安定した長期物性を示します。

用途事例

スマートフォンシャーシ

スマートフォンシャーシ

スマートフォンの内部シャーシ

スマートフォンシャーシ

製品

レオナ™

グレード

SG105
高剛性、良外観、易成形性を兼ねそろえたグレード。

特長

・良外観性
・高剛性