日刊自動車新聞掲載

旭化成 軽量化素材の供給体制整備
連続繊維複合強化材料事業化へ

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国内化学メーカー初 量産に向け生産技術確立

 旭化成は、2025年をめどに国内化学メーカー初となる連続繊維複合強化材料の事業化を目指す。電気自動車(EV)の本格普及に伴ってニーズが拡大する車体の軽量化に貢献する新材料の供給体制を整える。22年上期にも量産設備を開発拠点の川崎製造所(川崎市川崎区)に導入して量産技術の確立に着手し、22年下期にもサンプル出荷を始める。30年には同事業で売上高70億円をめざす。

 同社が提供するのは、ポリアミド樹脂から成るポリマーフィルムとガラス繊維クロスを積層した複合材料で設備投資額は10億円。年間2千トンを生産できる設備を導入して量産に向けた生産技術の確立を進める。
 同社が開発した複合材料は、ポリアミド樹脂のフィルムとガラス繊維クロスを積層し、加圧・加熱・冷却を経て成形する。連続繊維のため衝撃を加えても破損せず、衝撃を吸収する。また、鉄やアルミニウムなどに比べても比強度や比剛性は高くなり、軽量化と自動車部品に求められる性能を両立できる特性を持つ。ポリアミド樹脂の特徴である耐熱性能も備えているという。
 主に自動車部品をターゲットに供給する。樹脂化が難しいフレームやパネル、衝撃吸収部品などの大型部品など、金属からの置き換え用途として提案する。設備は川崎製造所に導入して生産技術を確立した後に、供給先に応じて生産拠点を正式に決定するが、拠点の人員規模や設備などから国内向けは川崎製造所、海外ではEV市場が活発な中国での生産となる見込み。
 同複合材料は欧州を中心に自動車向けの採用が進んでいる。業界では独ランクセスがトップシェアで、小型ドアモジュールキャリアなどでの採用実績を持つ。旭化成は今後の電動車両の普及拡大を背景に、日本や中国でも採用が広がると予想、本格的な事業化を進める。現時点で日本では採用事例が少ないため、同複合材料を用いた部品設計の技術支援を併せてアプローチし、シェア獲得を図る。
 自社のエンジニアリングプラスチックで今回の開発品と組み合わせた自動車部品におけるマルチマテリアル化の提案も進める。同複合材料を自動車向け製品提案にも活用し、自動車向け材料全体のシェア底上げを図る。

(2021年8月25日付日刊自動車新聞)