軽量なバイオマス原料活用
CNFコンポジット材料 CNF強化熱可塑性樹脂

概要と特長
CNF強化熱可塑性樹脂 CNF強化熱可塑性樹脂

CNF強化熱可塑性樹脂とは

旭化成の高耐熱セルロースナノファイバー(CNF)を各種エンジニアリングプラスチックと複合化(コンポジット)した、軽量でリグラインド*性に優れた材料です。

*リグラインド:汚染されていない製品、あるいはスプルーやランナーといったスクラップについて、工場内で粉砕、リペレット化および粒状化して再利用するもの(UL 746Aより)

CNF強化樹脂の特徴

  • 低比重(CNF比重:1.5g/cm³)
  • 低環境負荷(バイオ原料、リグラインド時の高い物性保持率)
  • 高耐熱性(原料種の選定)
  • 低摩擦係数、低摩耗性
  • 高弾性率、低線膨張率
コットンリンター・CNF

旭化成のCNF・CNF強化樹脂の優れた特性

旭化成が開発するセルロースナノファイバー(CNF)は、綿実油の製造過程で生じる非食用植物由来のコットンリンターを原料としたバイオマス素材です。CNFは繊維をナノオーダーにまで高度に微細化しており、親水性が高く、凝集しやすい特性があります。旭化成ではこのCNFを様々な樹脂にナノ分散させる技術を開発し、より高性能な材料の提供を目指しています。

高耐熱性

コットンリンター由来のCNFは、木材などから得られる他のCNFと比較して、優れた耐熱性を持つことが特徴です。この特性により、高温での混練が必要な樹脂複合材料において、繊維の熱劣化を抑制し、CNFの補強効果を損なうことなく樹脂との複合化が可能です。

旭化成のCNF・CNF強化樹脂の高耐熱性
旭化成のCNF・CNF強化樹脂の高耐熱性

相手材を傷つけない強化繊維

ガラスやカーボンなどの繊維強化材と比べ、CNFは小さく柔らかい繊維です。この特性により、3Dプリンターのノズル摩耗を抑制したり、摺動部品に使用することで相手材の摩耗を防ぐことができます。

旭化成のCNFの柔らかさ・PA/CNFとPA/CFの対金属摩耗性比較
旭化成のCNFの柔らかさ・PA/CNFとPA/CFの対金属摩耗性比較

リグラインド時の高い物性保持率

旭化成の高耐熱CNFは、リグラインド使用時の熱劣化及び繊維切断が少ないため、射出成形品を粉砕して再成形を繰り返しても、樹脂コンポジットの物性低下が少ないという特徴があります。

PA/CNFとPA/GFのリグラインド時の物性保持率の比較
PA/CNFとPA/GFのリグラインド時の物性保持率の比較

チキソトロピー性

CNFを樹脂中に高度に分散させることで、CNFネットワークが形成され、コンポジット溶融時に高いチキソトロピー性*を発現します。
*チキソトロピー性:低せん断下では高粘度、高せん断下では低粘度となる特性

この特徴は、例えば3Dプリンター造形においてはノズル吐出時はよく流れることで積層密着が良く、一方で吐出後にすみやかに粘度が上昇することで造形安定性を担保します。また、異形押出用途においては、これまで溶融時の粘度が低く困難であった結晶性樹脂の押出性を改善します。

CNF強化樹脂の特徴を活かす用途

01

3DP用途(PA/CNF強化樹脂フィラメント/ペレット)

ポリアミドにCNFを5~10%含有し、低反り、寸法精度、外観、強度、耐熱性に優れた3D造形材料を開発しています。

この材料は、市販フィラメントの中でも特に耐熱性が高く、造形精度に優れていることが特徴です。さらに、繊維強化品でありながら滑らかな外観を持ち、試作品や機構部品など様々な用途にご利用いただけます。

3Dプリンター向けPA/CNF強化樹脂の造形例・耐熱性
3Dプリンター向けPA/CNF強化樹脂の造形例・耐熱性
02

3DP用途
(SEBS/CNF強化エラストマーフィラメント/ペレット)

CNFの補強効果により、従来造形が困難であった軟質材料を低収縮・低反りで造形できる3Dプリンター用材料を開発しています。
この材料を用いた造形品は、市販の軟質材料よりも幅広く柔らかさを表現可能で、クッション材やシートなどに適しています。

また、市販のポリウレタンフィラメントと比較して、耐加水分解性が高いことが特徴です。

3Dプリンター向けSEBS/CNF強化樹脂の造形例・耐加水分解性
3Dプリンター向けSEBS/CNF強化樹脂の造形例・耐加水分解性
03

異形押出

CNFのチキソトロピー性を活用し、従来は粘度が低く困難であった結晶性樹脂の異形押出が可能になりました。
この特性により、低反り且つ薄肉化が可能で、溶融状態で形状を維持できるため押出の高速化にも期待できます。

異形押出とは?
溶融樹脂を押出機ダイから直接成形し、断面が一定の形状を持つ長尺品を連続的に作製する成形加工法
製品例:レール、ドアパッキン、チューブ、運搬部品、エレベーター部品、家具など

CNF強化樹脂の異形押出の特長

CNF強化樹脂の異形押出の特長

POM/CNF強化樹脂の基本物性​

CNF添加量 なし 1% 3% 5%
比重 23°C g/cm³ 1.40 1.41 1.41 1.41
引張応力 23°C MPa 55 58 63 69
引張破断伸び 23°C % 53 32 13 7
引張弾性率 23°C MPa 2490 2940 3370 3930
曲げ強さ 23°C MPa 81 88 95 102
曲げ弾性率 23°C MPa 2550 2770​ 3200 3730​
シャルピー衝撃値 23°C kJ/m²​ 8 4 3 4
荷重たわみ温度 1.80MPa °C 86 94 104 119
線膨張係数 MD/TD​ ppm/°C​ 116/115 108/113​ 94/117​ 81/117

Molding Condition: Compliant with ISO 294​
Test piece: ISO 20753 type A1
Mold temp.=80°C

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