ADASを構成するミリ波レーダーとは

ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)とは、自動車のドライバーの安全・快適を実現するために、運転を支援する機能の総称です。

ADASを構成する要素の1つであるミリ波レーダーは、24GHz, 76GHzを代表とする波長の短い電波を対象物に照射し、戻ってきた電波を検出することで対象物までの距離と方向を検知します。

本ページでは、ADASを構成するミリ波レーダー向けの各樹脂材料をご提案します。

*ADAS車載カメラ、ヘッドアップディスプレイ(HUD)向け樹脂材料のご提案はこちら

旭化成は安心・快適な移動ためのミリ波レーダー高性能化の実現を支援します。

ADASミリ波レーダーレドーム向け樹脂材料 xyron AA181-16(開発材)

ミリ波レーダーの筐体(レドーム)には、軽量で耐候性が高く、電波透過性にも優れた樹脂材料が求められます。特に、ミリ波のような高周波帯域では、レドームによる電波の減衰を抑えることが重要です。そこで、部品を構成する素材の比誘電率(Dk)・誘電正接(Df)がポイントになります。

旭化成の変性PPE樹脂ザイロン™の母材であるPPEは、低誘電率、低誘電正接という特徴を備えることから、情報通信分野での適用に適しています。

ザイロン™・サンフォース®と各樹脂(非強化)との誘電特性比較
ザイロン™・サンフォース®と各樹脂(非強化)との誘電特性比較

またPPEは、高いガラス転移温度を有しており、他の高耐熱性樹脂に比べて誘電特性の温度依存性が小さい点も特徴です。これは、さまざまな温度環境を想定される中で安定した通信品質を確保する上で、重要な利点です。

特にザイロン™ 開発材「AA181-16」は、耐加水分解性と高衝撃性に優れ、難燃性(UL94 V-0)と低誘電特性を両立しています。

これまで、レドームの材料にはポリカーボネート (PC) 、ポリブチレンテレフタレート (PBT) 、ポリフェニレンサルファイド (PPS) などが使用されてきましたが、誘電特性の観点では十分ではありません。特にPBT, PPSといった結晶性樹脂ではガラス転移温度 (Tg) を境に樹脂の特性が変化してしまうため、高温環境における誘電特性には注意が必要です。

旭化成のザイロン™ 開発材「AA181-16」をレドームに採用することで、その課題解消が期待できます。

ザイロン™開発材「AA181-16」レドーム電波透過性シミュレーション結果(周波数帯@28GHz)
ザイロン™開発材「AA181-16」レドーム電波透過性シミュレーション結果(周波数帯@28GHz)

ADASミリ波レーダーレドーム融雪ヒーター向けエンプラ発泡材料 サンフォース サンフォース®

降雪時に、ミリ波レーダーのレドームに雪が付着することで、検知能力が低下する問題があります。この問題を解決するために、現在ではレドームにヒーターを配置して雪を溶かす技術が実用化されています。

旭化成は、ミリ波レーダーレドーム背面に、変性PPE樹脂を発泡させた素材である「サンフォース®」を配置する構造を提案します。サンフォース®の高い断熱性と低誘電特性により、ミリ波帯電磁波の減衰量を抑えながらヒーターで発生した熱を効果的に利用できるようになります。

発泡樹脂サンフォース®の融雪ヒーター付きミリ波レーダーレドームへの適用イメージ
発泡樹脂サンフォース®の融雪ヒーター付きミリ波レーダーレドームへの適用イメージ

下図の通り、厚み3mm、発泡倍率10倍のサンフォース®を使用すると、ミリ波レーダーレドームを加温するためのヒーター消費電力を削減できることが示されています。

発泡樹脂サンフォース®を利用した断熱構造による省エネ効果シミュレーション
発泡樹脂サンフォース®を利用した断熱構造による省エネ効果シミュレーション

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