製品
比重が小さく、難燃性、電気特性、寸法安定性に優れます。太陽光発電、EV、通信機器等に採用されています。
樹脂CAE
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5G通信の製品は、高周波帯域(Sub6帯域や準ミリ波帯域)での電波の減衰を抑えることが重要です。
そこで、5G通信の製品と部品を構成する素材の比誘電率・誘電正接がポイントになります。比誘電率や誘電正接は電波の減衰性と関係があり、これらの数値が高いと「電波が材料(素材)に吸収されやすく」なるため、電波損失 (ロス) に繋がり、通信感度に影響します。
モバイル機器においては、筐体での電波減衰をこれまで以上に抑える必要や、筐体内部の部品レイアウトでも電波干渉をさらに減らしていく工夫が必要となります。受信感度を良くしていくには、1つ1つの部品設計での対策を積み重ねトータルで高めていくしかなく、5G通信でもそれに変わりはありません。
また、スマートフォン(スマホ)は、筐体が薄いほどユーザーに好まれる傾向にあるため、薄い筐体の中で電波減衰を抑え、受信感度を良くすることを達成しなければならないという難しさがあります。そのため、筐体・フレーム・アンテナに用いる材料(素材)の選定、MID (Molded Interconnect Device, 成形回路部品) 等の配線レス構造部品設計、各種部品のモジュール化、フレキシブルプリント配線板の採用等が重要になっています。
旭化成は、5G通信対応のスマートフォン(スマホ)端末向けの樹脂材料として、変性ポリフェニレンエーテル樹脂「ザイロン™」をご提案します。
ザイロン™は、ポリフェニレンエーテル (PPE) と他樹脂を混合したポリマーアロイの総称です。
旭化成が製造販売を開始したのは1979年であり、エンジニアリングプラスチックにおいて長い歴史を持ち、XYRON™幅広いポリマーアロイのラインアップを備えています。
ザイロン™は、優れた複数の特性を有します。
高い耐熱性を備えた上、難燃性と絶縁性、寸法安定性、耐水性にも優れ、なおかつ低比重といった特長があります。さらに、相手となる他樹脂の特長も生かしながらPPEを添加することによって、PPEの特長との相乗効果を狙ったポリマーアロイです。
ザイロン™はこれまでに、自動車や家電をはじめとする幅広い業界の部品や筐体にご使用いただいてきました。
特に自動車においては、XYRON™低比重という特徴に加えて、耐熱性や難燃性も備えることから、搭載部品の軽量化を目的として、頻繁に採用いただいています。
ザイロン™の母材であるPPEは、低誘電率、低誘電正接という特徴を備えることから、情報通信分野での適用に適しています。
また、PPEは、高いガラス転移温度を有しており、他の高耐熱性樹脂に比べて誘電特性の温度依存性が小さい点も特徴です。これは、さまざまな温度環境を想定される中で安定した通信品質を確保する上で、重要な利点です 。
サステナブルな社会の実現に貢献する、5G通信対応スマートフォン(スマホ)端末のシャーシ向け樹脂材料として、ザイロン™リサイクルPET/PPEアロイをご紹介します。
旭化成では、PPEを様々な再生樹脂と混練することで、サステナビリティと機能性を両立するザイロン™のリサイクルグレードの開発を進めています。
ザイロン™リサイクルPET/PPEアロイは、PETボトル等の廃棄物由来のポストコンシューマーリサイクル樹脂を約40%活用しながら、XYRON™高い機械物性と低誘電特性をもつ素材です。
金属接合が可能であり、スマートフォン端末シャーシの高機能化(PBT+GF比のさらなる低誘電特性付与、リサイクル原料由来)を可能にする樹脂材料で、タブレットやノートPC(ラップトップ)の同様の機構部品にも応用可能です。
MIDアンテナ向け樹脂材料として開発中の、ザイロン™低誘電LDSグレードは、2024年3月にLPKF Laser & Electronics社のLDS適合材*として認定されました。(LPKF社のLDSテクノロジーについての詳細・認定材料リストはこちら)
*LDS(Laser Direct Structuring, レーザー直接構造化)とは、ドイツのプリント基板加工装置メーカーLPKF Laser & Electronics社が開発した3次元配線形成技術(MID技術)で、材料として使用するためには同社の認定が必要になります。LDS工法では、金属錯体を分散した樹脂材料を用い、レーザー光により錯体を還元し触媒核として、選択めっきにより回路形成します。
この開発グレードは、低誘電率、低誘電正接、耐加水分解性に優れています。この材料(素材)をMIDアンテナとした場合には、従来使われてきたポリカーボネート (PC) 系材料と比較して、トータル効率が最大で1dB改善するシミュレーション結果も得られています*。
これにより、対応周波数の増加やデバイスの高機能化に伴う設計スペースの制限といった課題の解消に貢献します。
*当該開発グレードは試作段階であり、量産時の性能を保証するものではありません。