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EVの航続距離延長に貢献する車載バッテリー向け樹脂材料 自動車

Summary

  • 環境規制の強化・政策に伴い、EV(電気自動車)への注目が高まっています。
  • EVに欠かせない部品がバッテリーであり、バッテリーはセル・モジュール・パックという単位のユニットで構成されます。
  • エネルギー密度を高めるためには、車載バッテリーの各構成ユニットの小型化・軽量化・熱マネジメントなどによる効率化・高機能化が必要です。
  • 旭化成は、高機能なエンジニアリングプラスチックで車載バッテリー10年以上の実績があり、お客様のモノづくりを支援します。

旭化成からのご提案

自動車の電動化・EV化

欧州を中心とした環境規制・排ガス規制の強化が進み、グローバルでCO2削減強化が進められる中、クルマの電動化、xEV化については、国や地域で規制や方針が異なります。これまでも自動車に対するCO2排出規制は厳しく設定されてきましたが、今後のさらなる排出規制強化をエンジンの効率向上だけで対応することは困難になってきています。

 

そこで、自動車メーカー各社は電動化技術の開発と実装により、燃費改善を図っています。

エネルギー

この背景に加えて、多くの国・地域ではICE(Internal Combustion Engine、内燃機関)であるガソリンエンジン車とディーゼルエンジン車を規制する方針を示していることから電動車の普及は進むと予想されています。

 

最も規制が厳しいEUでは、2035年以降のICEの生産を実質的に禁止する改正案を発表しました。ここには、ICEとモーターを併用するハイブリッド車 (HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車 (PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle) も含まれます。よって、欧州では急激に、バッテリー式電気自動車 (BEV:Battery Electric Vehicle) の開発が行われています。

 

その他の地域では、アメリカは2030年までに新車販売比率の50%をBEV、PHEV、燃料電池車(FCEV:Fuel Cell Electric Vehicle)とする大統領令を発令しています。中国では、中国汽車工程学会が2035年にNEV車(BEV、PHEV、FCEV)が50%、低燃費車(HEV)が50%占めることが望ましいと発表しています。そして日本は、2035年までに軽自動車を含む新車販売の100%を電動車(HEV、PHEV、BEV、FCEV)と設定しています。(2022年2月時点情報)

電動化における部品の変化

EV(電気自動車・電動車)ではモーター、バッテリー、インバータの3点が主要パーツとなります。

 

従来のICEでは、燃料タンクからガソリンをエンジンに供給し、エンジンで発生させた回転・トルクをトランスミッションで調整してタイヤに伝えて走行しています。
これに対してBEVでは、エンジンがモーターに、燃料タンクがバッテリーに置き換わった構造となっており、バッテリーから供給される電気の電流・電圧・周波数をインバータで調整し、モーターないしは各種電機部品を動かしています。
また、HEVとPHEVは、ICEとBEV両方の駆動機構を搭載していますが、HEVとPHEVの違いは、外部からバッテリーの充電が可能かという点です。HEVは外部からバッテリーの充電ができず、動力としてはエンジンが主、モーターが従となります (一部ブレーキ時の回生エネルギー等を有効活用します)。PHEVは、外部からのバッテリー充電が可能であり、動力としてモーターを主、エンジンを従とした運転も可能です。

 

一般的に、ICEは走行時のCO2排出量が多く、BEVは走行時のCO2排出量が少ないという傾向があります。しかし、搭載するバッテリーの製造過程におけるCO2排出量や、車両だけでなく各国・地域の電源構成比などによっても異なる点を考慮し、総合的な環境への影響を考える必要があります。

 

これらの課題から、環境負荷を評価する方法として、LCA (Life Cycle Assessment) が広まりつつあります。LCAとは、資源の採掘・採取から廃棄・リサイクルまでの各段階で、自動車が環境に与える要因を定量化し、総合評価する手法です。LCAの考えが普及すると、製造時だけでなく、廃車・リサイクル段階での各種資源の回収のしやすさ・効率・仕組み等も重要となります。特にバッテリーにおいては、製造時のCO2排出や貴重な資源の有効活用の観点から、各種研究・実証実験が進んでいます。

EV向けバッテリーの種類・構成

EV(電気自動車・電動車)の主要パーツであるバッテリーについて、もう少し詳しくご説明します。

 

バッテリーの種類にも様々なものがありますが、現在広く利用されている二次電池の中でもエネルギー密度・容量が高いと言われているリチウムイオン電池が電動車では多く適用・検討されています。その最大の特長はエネルギー密度・容量が高いことであり、小型化しながらも大きなエネルギーを供給できます。一方、リチウムイオン電池はそのエネルギーの大きさから安全対策が非常に重要となっており、各種安全規制・対策が厳しく設定・運用されています。

 

リチウムイオン電池の最小構成要素はセルと呼ばれます。セルには「円筒型(Cylindrical)」、「角型(Prismatic)」、「ラミネート or パウチ型(Laminate or Pouch)」の3つの形状があります。

 

  • 円筒型セル
    乾電池と同形状である、その名の通り丸い筒状の電池です。円筒型の金属筐体の中に、正極/負極/セパレータを重ねて巻き上げたロールと電解液を封入して作られます。円筒型は他の形状のセルよりも生産性に優れており、比較的安価と言われています。一方、円筒型はその形状から多数のセルを搭載しようとした場合に隙間が生じやすく、積載空間効率が悪くなりがちと言われています。
  • 角型セル
    四角い形状の金属筐体に、正極/負極/セパレータを重ねて巻き上げたロールと電解液を封入しています。四角い形状に起因する、機械強度や体積あたりのエネルギー密度が高いことが特長です。
  • ラミネート型セル
    円筒形セル・角型セルの金属筐体の代わりに、外装にラミネートフィルムを用いたものです。内部の電解液を従来の金属缶と同じ液体にしたものと、ゲルの中に電解液を封じ込めたポリマー風のものがあります。生産や品質管理が難しい側面もありますが、形状自由度の高さ・省スペース性が特長です。

 

このように、各セルの種類によって特徴が異なるため、設計思想・製造方法・用途等に応じた使い分けが必要となります。

 

特にEVのように大きなエネルギー源としてバッテリーを機能させるためには、複数のセルをフレームやトレイ中に格納・組み合わせて、1つの大きな電池としてまとめあげた「モジュール」にする必要があります。複数のセルの電極部を結合していきますが、円筒形や角型の場合はバスバーという金属板を介します。

 

さらに、容量を上げるために複数のモジュール同士を接続させ、電圧・電流・温度を監視するBMS(Battery Management System、バッテリーマネジメントシステム)、バッテリー状態を計測する電流センサー・温度センサー・電圧センサー、冷却機構(空冷:ブロアー等、水冷:配管)、さらにこれらの部品を連結させるワイヤーハーネス・コネクター等を盛り込み、1つのバッテリーシステムとしてまとめたものを「パック」と呼びます。このパックは、自動車メーカーの要望(重量、容量、形状等)に応じて、様々な素材・形状で作られ、バッテリー本体を衝撃や振動から守っています。安全性を始めとした各種要求性能・規制を満たすようシステム設計がなされた上で、このパックが電動車に搭載されていきます。

旭化成からのご提案

EV(電気自動車・電動車)のバッテリーにおける1番の課題は、そのエネルギー密度を高めることです。エネルギー密度を高めることにより、スペース・重量を損なうことなく、車の航続距離を延ばすことができます。

省スペース・軽量化に貢献する変性PPE樹脂 ザイロン™

ザイロン™とは

ザイロン™は、ポリフェニレンエーテル (PPE) と他樹脂とのポリマーアロイの総称です。旭化成が製造販売を開始したのは1979年であり、エンジニアリングプラスチックにおいて長い歴史を持ち、幅広いポリマーアロイのラインアップを備えています。

 

ザイロン™は、優れた複数の特性を有します。高い耐熱性を備えた上、難燃性と絶縁性、寸法安定性、耐水性にも優れ、なおかつ低比重といった特長があります。さらに、相手となる他樹脂の特長も生かしながらPPEを添加することによってPPEの特長との相乗効果を狙ったポリマーアロイです。

変性PPE樹脂ザイロン™の幅広いグレードラインナップ

車載バッテリーにおけるザイロン™の活用事例

セル間スペーサー

バッテリーのセル間に使用する絶縁部品であるセル間スペーサーには、耐トラッキング性、耐加水分解性、耐酸・アルカリ性、長期物性の安定に優れたザイロン™ 340Zと、これらの特徴に加えてさらに耐油・耐薬品性を有するPP/PPEアロイ ザイロン™ Tシリーズの活用をご提案します。

薄肉成形性が良好で、省スペース・軽量化に貢献します。さらに、クリープ特性、難燃性(ノンハロゲン)に優れ、車両安全にも寄与します。

セル間スペーサー

バスバーカバー

高圧大電流が流れる導体のカバーには、薄肉成形性と絶縁性、耐熱性を備える、ザイロン™ TF701, TA720, X9110をご提案します。

取り扱い性が容易となる、耐油性を有するグレードもございます。

バッテリー

燃料電池スタック周辺部品

燃料電池を構成するスタック周辺部品には、ザイロン™500Hをご提案します。

 

樹脂からの溶出性(イオン、オリゴマー等)が少なく、耐熱水性、耐酸性に優れ、長期間浸漬しても物性がほとんど低下しません。

NiMH電槽部品

NiMH電槽部品向けのザイロン™⾮難燃グレードは、従来素材(⾦属)と⽐べ軽量化を達成するとともに、電池ケースとして必要な性能を備えた素材として、開発されました。

軽量(低⽐重)かつ、耐アルカリ性、ガスバリア性、耐⾦属劣化性に優れています。

 

こちらは旭化成グループの環境貢献製品として、製品を使用する段階でCO2削減に貢献しています。

ザイロン_軽量化樹脂(車載二次電池部材)
  • 変性PPE樹脂ザイロン™の製品ページはこちら

優れた耐熱性・強度・剛性をもつポリアミド樹脂 レオナ™

レオナ™とは

ポリアミド樹脂レオナ™ は強度・剛性、耐熱性、耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックです。

 

ガラス繊維(GF)のような充填材(フィラー)によって強化することで、強度・剛性、耐久性、寸法安定性を向上することができます。

車載バッテリーにおけるレオナ™の活用事例

エンドプレート

バッテリーを構成する樹脂部品のエンドプレート向けには、成形加工性・レーザー印字性・強度・靭性・電気特性(CTI)・耐熱性を有するグレード「レオナ™SNシリーズ」をご提案します。

 

難燃PA66はE&Eや自動車を中心にかつてより使用用途の幅を広げています。近年、世界で環境負荷削減や労働者の安全性を重視する傾向が高まり、ハロゲンや赤燐不使用の要求が増えています。

エンドプレート

そこで旭化成は環境・安全を考慮し、ハロゲンと赤燐を含まない難燃剤を使用する新しいレオナ™SNグレードの開発に着手し、その完成に至りました。

  • 環境と安全を考慮したハロゲン&赤燐フリーPA66次世代難燃グレード「レオナ™ SNシリーズ」のダウンロード資料はこちら
  • ポリアミド樹脂レオナ™の製品ページはこちら

熱マネジメントに貢献するエンプラ発泡材料 サンフォース®

サンフォース®とは

サンフォース®は軽量、断熱性という発泡体ならではの性能に加えて、難燃性(UL-94 V-0)、寸法精度、薄肉成形などの、従来の発泡体を超えた機能を併せ持ったm-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)のザイロン™をベースとした発泡体です。

 

サンフォース®は発泡させている分、樹脂の使用量が少ないため樹脂部を伝わる「伝導」が小さく、高い断熱性を有しています。

エンプラ発泡ビーズ サンフォース

車載バッテリーにおけるサンフォース®の活用事例

サンフォース®は、優れた断熱性で、車載バッテリーの熱マネジメントに貢献します。

 

バッテリーが低温になると、その出力が大きく低下する事が知られています。 電気自動車や高出力のハイブリッド車では、セルの温度低下を防止するために、ヒーター等で加熱して適温に維持する工夫をされている車両もあります。

このような課題に対し、サンフォース®でバッテリーを断熱することにより停止時のバッテリーの放熱を防止し、数時間の停車ではヒーターで加熱することなく、バッテリーの高出力を引き出すことが可能です。 

 

また、ヒーター使用時もサンフォース®の断熱効果により外部への放熱ロスを極小化することが可能です。

 

さらに、運転中にセルを冷却するための電力を節約できます。サンフォース®で筐体を通じた外部からの熱影響を減らすことで、熱交換効率を上げバッテリーの性能を最大限に活かします。

また、サンフォース®は、発泡体でありながら、難燃性が必要な部分にも使用することができます。

 

サンフォース®は、ULのプラスチック・部材向け難燃規格「UL-94」にて、非常に高いレベルの難燃性である「V-0」の認定を、発泡ビーズ材料として世界で初めて受けています。

サンフォース®は軽量な発泡体であり、自己消火性があるという特徴から、既にEVの電池パック周辺部品での採用・検討が進んでいます。

 

例えば、サンフォース®を用いた車載バッテリーパック内のセルホルダーとして、次のような点での貢献が期待できます。

円筒形リチウムイオンバッテリーセルホルダー

 1.安全性の向上:UL-94 V-0の難燃性を持つ発泡素材の使用

 2.軽量化:射出樹脂材料と比較して軽量化可能(10倍発泡グレードの比重0.1kg/L)

  • サンフォース®に関する資料ダウンロードはこちら
  • サンフォース®Webサイトはこちら

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