ADASとは

ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems,先進運転支援システム)とは、ドライバーの安全・快適を実現するために、運転を支援する機能の総称です。自動車にセンサーを搭載して周囲の情報を把握し、ドライバーに的確に表示・警告を行う機能や、ドライバーに代わって自動車を制御する機能などがあります。

より安全な移動を求める声に対応して、これからの自動車には、事故を起こさないための技術の開発とその導入が必要とされています。事故を未然に防ぐためには、車内外の安全を検知・判断・制御する必要があり、車の電動化のトレンドと共に、自動車用センサーの種類・数は増え続けています。

旭化成は、カメラ、ミリ波レーダー、ヘッドアップディスプレイ等の、ADAS部品向けの樹脂材料と技術支援を提案し、安心・快適な移動の実現を支援します。

ADAS車載カメラ鏡筒、レンズスペーサー、筐体向け材料 xyron XP640・AA105(開発品)・DG040

車載カメラ向け樹脂材料に求められる性能

車載カメラ用途では下記特性をバランス良く高いレベルで達成する材料が必要となります。

  • 寸法安定性 ⇒精密な光学特性
  • 強度    ⇒長期使用における信頼性
  • 接合特性  ⇒接合箇所の信頼性
  • 耐候性   ⇒屋外使用における信頼性、意匠性
鏡筒・レンズスペーサー

寸法精度と寸法安定性(真円度)に優れる ザイロン™ XP640・AA105(開発品)・DG040

自動車に搭載される各種カメラに使用される鏡筒、レンズスペーサー、筐体には、旭化成の変性PPE樹脂 ザイロン™ XP640・AA105(開発品)・DG040をご提案します。

下図のように、鏡筒の形状でエージング試験を実施し、どれくらい正確な円形か(真円度)を測定しました。ザイロン™ DG040は初期状態から真円度が高く、エージングによる変化も少ない寸法安定性に特に優れた材料であることが分かります。また、ザイロン™ XP640、AA105(開発品)はエージングによる寸法変化が小さいことから、これらも寸法安定性に優れた材料であることが分かります。

環境試験による真円度変化
環境試験による真円度変化

■ ザイロン™ XP640、AA105(開発品)
高耐熱ポリアミド(PPA)とPPEのアロイグレードです。低吸水性を特長とするPPEをPPAとアロイすることにより、吸水による寸法変化の抑制とPPA並みの高耐熱、高強度を達成しました。AA105(開発品)はXP640よりも耐候性に優れ、レーザー溶着も対応可能な、高い光線透過率を有するグレードです。

ザイロン™ XP640の物性表はこちら

■ ザイロン™ DG040
PPSとPPEのアロイグレードです。高温環境下の機械強度低下が小さく、特殊ガラスフィラー配合により寸法変化の異方性が小さいことが特長です。

ザイロン™ DG040の物性表はこちら

ADAS車載カメラ筐体、ルームミラーブラケット向け樹脂材料 leona SG105・SG115

カメラ筐体、ルームミラーブラケット向け樹脂材料に求められる性能

カメラ部品向け素材には、様々な環境での安定した寸法精度と低寸法変化が求められますが、筐体では特に外観性が求められます。また、ルームミラーブラケットはこれまでの単純な鏡を収めるものではなく、各種センシング機能も含む形で進化しており、センシング部品由来の熱に耐える耐熱性や重量増に耐えられる高剛性が求められます。

ここで用いられる樹脂材料には、内装部品としての良外観性、高い剛性による振動抑制、吸水時の寸法・物性変化の抑制が求められています。

ルームミラーブラケット

■ 吸水に伴う寸法・性能変化を抑制し、優れた強度・剛性と良外観性を兼ね備える樹脂材料 レオナ™ SG105・SG115
旭化成のポリアミド樹脂レオナ™ SG105およびSG115は、半芳香ポリアミド6Iとポリアミド66のアロイグレードです。
吸水時の寸法変化と物性低下を抑え、高い比強度、高い剛性、良外観、優れた流動性を特徴としています。

レオナ™ SG105の物性表はこちら

ADASミリ波レーダー筐体向け樹脂材料 xyron 開発材「AA181-16」

ミリ波レーダー筐体(レドーム)向け樹脂材料に求められる性能

レーダーは、アンテナ基盤と筐体から構成されています。このうち筐体は基盤を保護するだけでなく、電波を送受信のために透過する役割を担っており、レドームとも呼ばれます。

最外装であるレドームには、軽量化や耐候性の要求に加え、電波透過性を向上させるために低誘電特性が求められます。特に、ミリ波のような高周波帯域では、レドームによる電波の減衰を抑えることが重要です。そこで、部品を構成する素材の比誘電率(Dk)・誘電正接(Df)がポイントになります。比誘電率や誘電正接は電波の減衰性と関係があり、これらの数値が高いと「電波が素材に吸収されやすく」なるため、電波損失 (ロス) に繋がり、通信感度に影響します。

電波透過性の向上に貢献する低誘電の樹脂材料 ザイロン™開発材「AA181-16」

旭化成の変性PPE樹脂ザイロン™の母材であるPPEは、低誘電率、低誘電正接という特徴を備えることから、情報通信分野での適用に適しています。またPPEは、高いガラス転移温度を有しており、他の高耐熱性樹脂に比べて誘電特性の温度依存性が小さい点も特徴です。これは、さまざまな温度環境を想定される中で安定した通信品質を確保する上で、重要な利点です。

中でも、ザイロン™ 開発材「AA181-16」は、耐加水分解性および高衝撃性に優れ、従来の材料では困難であった難燃性 (UL94V-0) と低誘電特性の両立を実現しています。

これまで、レドームの材料にはポリカーボネート (PC) 、ポリブチレンテレフタレート (PBT) 、ポリフェニレンサルファイド (PPS) などが使用されてきましたが、誘電特性の観点では十分ではありません。特にPBT, PPSといった結晶性樹脂ではガラス転移温度 (Tg) を境に樹脂の特性が変化してしまうため、高温環境における誘電特性には注意が必要です。

旭化成のザイロン™ 開発材「AA181-16」をレドームに採用することで、その課題解消が期待できます。ザイロン™は、このほかにもレドーム向け材料として耐光変色抑制グレード等の開発も進めており、XYRON™ミリ波レーダー筐体(レドーム)の幅広いニーズにお応えすることができます。

ザイロン™開発材「AA181-16」レドーム電波透過性シミュレーション結果(周波数帯@28GHz)
ザイロン™開発材「AA181-16」レドーム電波透過性シミュレーション結果(周波数帯@28GHz)

ADASヘッドアップディスプレイ向け材料 xyron DG040・744Z

ヘッドアップディスプレイ (HUD) 向け樹脂材料に求められる性能

ヘッドアップディスプレイ向けの樹脂材料には、映像をミラーで反射させるための高い寸法変化精度と、ダッシュボード内高温時の寸法変化の抑制が求められます。

ヘッドアップディスプレイ

寸法変化精度や高温時の寸法安定性に優れる樹脂材料 ザイロン™ DG040・744Z

ヘッドアップディスプレイには、以下2グレードのザイロン™をご提案します。

■ ザイロン™ DG040
XYRON™PPSとPPEのアロイグレードです。PPSにPPEを配合することで高温時の寸法安定性を向上、特殊ガラスフィラー配合で寸法異方性を軽減します。

ザイロン™ DG040の物性表はこちら

■ ザイロン™ 744Z
XYRON™PPEとPSのアロイグレードです。UL難燃V-0、荷重たわみ温度135℃、耐熱・靭性・寸法安定性のバランスに優れた材料です。

ザイロン™ 744Zの物性表はこちら

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