01 素材を製造する サステナビリティ

Summary

  • 持続可能な社会を実現するため、バイオマス由来の素材が注目されています。
  • バイオマスプラスチックの導入は、温室効果ガスの排出抑制と石油資源の使用削減に繋がると期待されています。
  • 植物由来のCNF(セルロースナノファイバー)は、軽量かつ高強度な素材であり、樹脂の補強剤・添加剤としての活用が有望視されています。
  • 旭化成では、バイオマス原料を活用したプラスチックの開発と、CNFを用いた強化プラスチックの開発を進めています。

旭化成からのご提案

はじめに

持続可能な社会の実現のため、サステナブルな資源の活用が注目を浴びています。本ページでは、昨今関心が高まっている以下2種類の素材についてご紹介します。

サステナブルな2種類の素材

  1. バイオマスプラスチック
  2. セルロースナノファイバー  (CNF)

1. バイオマスプラスチックとは

プラスチックの資源循環を実現するために、従来の石油資源由来のプラスチックに代わり、バイオマス(植物などの再生可能な有機資源)・リサイクル由来のプラスチック比率を急速に高めていくことが必要とされています。ここでは、バイオマス由来のプラスチックの特性や種類についてご紹介します*。

*リサイクル由来のプラスチックについては「5. リサイクルする」にてご説明します。

一般的に「バイオプラスチック」という単語がよく使われていますが、バイオプラスチックは、微生物によって生分解される「生分解性プラスチック(Biodegradable plastics)」とバイオマスを原料に製造される「バイオマスプラスチック(Biomass plastics)」の2種類に大別されます。

バイオプラスチックの大別

  • 生分解性プラスチック:ある一定の条件下で微生物等の働きによって分解し、最終的には二酸化炭素と水にまで変化する性質を持つプラスチック
  • バイオマスプラスチック:原料として植物などの再生可能な有機資源(バイオマス)を使用したプラスチック
バイオプラスチックの分類

バイオプラスチックの分類
環境省「バイオプラスチック導入ロードマップ-持続可能なプラスチックの利用に向けて-」を基に旭化成作成

2019年5月に政府が策定した「プラスチック資源循環戦略」の1つに、プラスチック製容器包装・プラスチック製品の原料を、再生可能な資源から成るバイオマスプラスチック等に切替えていくことが盛り込まれています。また、2030年までに、バイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入することを目指すという数値目標を掲げています。

 

特に、バイオマスプラスチックの中でも非生分解性のものは、化石資源由来プラスチックと同等の機能を示し、使用における課題が比較的少ないといわれています。そのため、将来的にはエンジニアリングプラスチックにおいても、非生分解性バイオマスプラスチックに置き換えることが期待されています。環境配慮という観点から、バイオマスプラスチック導入により期待される効果は主に2つです。

バイオマスプラスチック導入により期待される効果

  • 温室効果ガスの排出抑制
  • 枯渇の恐れがある石油資源の使用削減

バイオマスプラスチックの原料であるバイオマスは、その成長過程で光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収します。よって、そのバイオマスプラスチックがリサイクルされずに焼却処理せざるを得ない場合であっても、バイオマスのカーボンニュートラルな特性から大気中の二酸化炭素濃度を上昇させないという特徴があります。

*参照:環境省「バイオプラスチック導入ロードマップ –持続可能なプラスチックの利用に向けて-」

2. CNFとは

CNF(セルロースナノファイバー)とは、ミクロフィブリル化セルロースやセルロースナノフィブリルとも呼ばれ、植物を構成しているセルロースを解繊した繊維のうち、幅3~100nm、長さ100μm未満の状態のものを指します。植物由来のCNFは、木材を原料とすることが一般的ですが、木材以外にも草本類、海藻、竹などからも生成することができます。CNFは、軽量かつ高強度などの優れた性質を持っています。またセルロースから生成されるため、再生可能資源であり、生分解性などの特徴を持ち合わせています。CNFは複合樹脂の添加剤としも注目されています。従来、樹脂の強化に用いられてきたガラス繊維に比べCNFはリサイクル性が高いという特徴があります。

旭化成からのご提案 ①

バイオマスプラスチック

植物由来ポリアミド (PA) 610 レオナ™ BGシリーズ

ポリアミド (PA) 610は、ポリマーの60%が植物由来となっているバイオマスプラスチックです。旭化成のPA製品 レオナ™の主なグレードに使われるPA66は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンという2つの原料から作られています。PA610の原料も2つあり、セバシン酸とヘキサメチレンジアミンから作られます。このうちのセバシン酸は、ひまし油というトウゴマから得られる植物油の一種を原料としています。

 

PA66よりも一つの分子が長いため、比較すると次の様な特徴があります。

 1. 吸水率が低く、寸法安定性が良い
 2. 耐薬品性、耐塩化カルシウム性にも優れる

こうした特徴を活かして、自動車のラジエタータンク、各種ポンプ、センサー部品、電池部品等、様々な部品で用いられています。

マスバランス方式によるバイオマス原料を使用したポリフェニレンエーテル (PPE) 樹脂の開発

変性ポリフェニレンエーテル樹脂 (変性PPE樹脂) ザイロン™では、PPEそのものとして優れた特徴(耐熱・難燃・軽量・低吸水・絶縁・寸法精度)はそのままに、バイオマス由来のメタノール/フェノール(マスバランス認証品)を原料とするPPEで、ISCC plus認証取得を目指しています。

また、変性PPE樹脂「ザイロン™」では、サステナブルグレード開発等、サステナブル社会の実現に向けて様々な取り組みを進めています。

ザイロン™の取り組みご紹介動画
※こちらの動画は、2021年12月8~10日に開催された「サステナブルマテリアル展」の旭化成ザイロン™ブースで撮影したものです。
※視聴時間:6分28秒、音声でますので音量にご注意ください。

*2021年12月に開催された「サステナブルマテリアル展」の展示パネルです。 サステナブル社会の実現に向けた旭化成の変性PPE樹脂「ザイロン™」のサステナブルグレード開発や、その他の取り組みをご紹介しています。

バイオマス原料由来のポリアミド66(バイオポリアミド66)の実用化検討

旭化成では、現在、化石燃料由来のヘキサメチレンジアミン(HMD)を原料とする、耐熱性や強度・剛性に優れたエンジニアリングプラスチックであるポリアミド66樹脂「レオナ™」を製造しています。2022年3月、カーボンニュートラルの実現に向けて、バイオテクノロジーを用いた多様な化学品の製造技術と商業化の実績を有するGenomatica社から、現在開発中のバイオHMDを優先的に利用する権利を取得しました。今後、このバイオHMDと当社が有するポリアミド66のポリマー重合技術を活用し、 各種樹脂部品向けにバイオポリアミド66を他社に先駆けて実用化することを目指します。

旭化成からのご提案②

CNF強化プラスチック

CNF強化プラスチックは、旭化成の高耐熱CNFを各種エンジニアリングプラスチックと複合化した、軽量でリサイクル性に優れた材料です。比剛性、寸法安定性、摺動特性などに優れ、摺動部品の小型化・薄肉化・軽量化に貢献します。

旭化成のCNFの特徴

旭化成が開発するセルロースナノファイバー(CNF)は、コットンリンター原料をナノオーダーにまで高度に微細化したバイオマス素材です。

 

このリンターCNFは、高耐熱なバイオマスフィラー(充填剤)として樹脂を強化することができ、同じ製品の原料として再利用するマテリアルリサイクルが可能で、軽量であることが特徴です。また、高弾性率、低線膨張率、低摩擦係数、低摩耗性、高ガスバリア性など、優れた特性を備えています。

従来、CNFは非常に親水性が高く、樹脂中へ練り込もうとすると凝集してしまい、CNF本来の性質を発現できないという課題を抱えていました。

 

旭化成では、CNFを様々な樹脂にナノ分散させる技術を開発しており、CNF製造からCNFコンポジットまでの一貫製造プロセスを特徴としています。

CNF強化熱可塑性樹脂
  • 旭化成のCNF強化プラスチックの開発についての資料のダウンロードはこちら

PA/CNFコンポジット材料

PA/CNFコンポジット材料は、旭化成の高耐熱CNFを各種ポリアミド(PA)樹脂と複合化したものです。

 

摺動性、低温・高温剛性、低比重、マテリサ性(対非強化PA、PA/GF)といった特徴を有し、摺動部品の小型化・薄肉化・軽量化に貢献します。

バイオ原料フィラーであり、かつメカニカルリサイクル性に優れたCNFをポリアミド(PA)の強化材に用いることで、素材の環境負荷低減に貢献できます。なお、本ページの「旭化成からのご提案①」でご紹介したバイオマスプラスチックPA610に、CNF10%を複合化した材料は、バイオ原料比率65%と更なる環境負荷低減に貢献ができます。

 

また、バイオ原料の活用、高いメカニカルリサイクル特性、部品の軽量化により部材の環境負荷低減にも貢献します。

 

 

特徴①:耐熱性とメカニカルリサイクル性

旭化成の高耐熱CNFは、メカニカルリサイクル時の熱劣化及び繊維切断が少ないため、射出成形品を粉砕→再成形を繰り返しても、樹脂コンポジットの物性低下が少ないという特長を有します。

CNF強化樹脂の射出成形品

CNF強化樹脂の射出成形品

CNF原料の耐熱性

CNF原料の耐熱性

特徴②:高剛性と寸法安定性

旭化成のPA/CNFコンポジット材料は、非強化ポリアミド(PA)に比べ比剛性が大きく向上し、且つ低温から高温の広い温度領域で高弾性率と低線膨張を発現します。

PA/CNFコンポジット材料の高剛性と寸法安定性



特徴③:摺動性

旭化成のPA/CNFコンポジット材料は、低摩擦係数、低摩耗性、低アブレ-ジョンを発現し、摩擦対象物(金属等)を摩耗させにくいという特長があります。

 

ガラス繊維強化材に比べ、CNFナノコンポジット材料は、摺動対象物である金属を摩耗させないため、金属の特殊表面処理プロセスを省略できる可能性があります。

PA/CNFの摺動性

POM/CNFコンポジット材料

POM/CNFコンポジット材料は、旭化成の高耐熱CNFをポリアセタール(POM)樹脂と複合化したものです。

 

摺動性、高温剛性、低収縮・低CTE、高温クリープ性能(対POM)といった特徴を有し、摺動部品の小型化・薄肉化・軽量化に貢献します。

一般的に、同樹脂同士の摺動は凝着摩耗によって摺動性能は悪化し、高負荷を要する摺動部品においては、他樹脂を組み合わせた機構部品が用いられています。優れた摺動性をもつ旭化成のPOM/CNFコンポジット材料は、同種同士においても良好な摺動性能を発現することから、モノマテリアルでの摺動機構部品が容易となります。

 

また、バイオ原料の活用、高いメカニカルリサイクル特性、部品の軽量化により部材の環境負荷低減にも貢献します。

 

 

特徴①:高剛性と寸法安定性

コットンリンターを原料とする弊社の高耐熱CNFをポリアセタール(POM)中に高度に分散させ、強固なCNFネットワークを樹脂中に構築したCNFナノコンポジット材料は、高剛性、寸法安定性に優れます。

 

当社独自のCNF分散技術から得られたPOM/CNFコンポジット材料は、通常樹脂の剛性が低下する高温領域においても、高い剛性を維持することが可能です。



特徴②:優れた摺動性

ポリアセタールは優れた機械物性と摩擦摩耗特性から歯車などの摺動部品に使用されています。当社のPOM/CNFコンポジット材料は、機械特性に加え、摺動性能の向上にも貢献します。

 

CNFはガラス繊維強化材に比べ、摺動対象物である金属を摩耗させ難い特徴があります。

 

さらには一般的に性能が悪化するとされる同材同士における摺動においても、低摩擦係数、低摩耗性、高い静音性を発現し、製品の小型化のみならず、部品のモノマテリアル化も期待できる材料です。




特徴③:耐クリープ性

部品の小型化ニーズが高まり、プラスチックへの耐久性向上の要求が高まっています。当社のPOM/CNFコンポジット材料は、優れたクリープ性を有します。


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