Summary

  • プラスチックの資源循環を実現するために、従来の石油資源由来のプラスチックに代わり、バイオマス・リサイクル由来のプラスチック比率を高めていくことが必要とされています。
  • バイオマスプラスチックは、原料として植物などの再生可能な有機資源(バイオマス)を使用したプラスチックで、環境配慮の観点から、近年、社会的な需要が非常に高まっています。
  • CNFとは、植物を構成しているセルロースを解繊した繊維のうち、幅3~100nm、長さ100μm未満の状態のものを指します。軽量かつ高強度などの優れた性質を持ち、再生可能資源として生分解性・リサイクル性などの特徴を持ち合わせています。
  • 旭化成では、バイオマス由来の原料を活用した各種エンジニアリングプラスチックを開発し、国際的な認証(ISCC PLUS)取得などにも積極的に取り組んでいます。また、高耐熱CNFを各種エンジニアリングプラスチックと複合化した、軽量でリサイクル性に優れた材料を開発しています。

旭化成からのご提案

プラスチックの資源循環に貢献する素材

プラスチックの資源循環を実現するために、従来の石油資源由来のプラスチックに代わり、バイオマス(植物などの再生可能な有機資源)・リサイクル由来*のプラスチック比率を高めていくことが必要とされています。

本ページでは、昨今関心が高まっている2種類の素材、「バイオマスプラスチック」と「セルロースナノファイバー (CNF)」についてご紹介します。

*リサイクル由来のプラスチックについては「5. リサイクルする」にてご説明します。

バイオマスプラスチック

■バイオマスプラスチックとは

バイオマスプラスチックは、原料として植物などの再生可能な有機資源(バイオマス)を使用したプラスチックのことです。

■バイオマスプラスチックの社会的需要の高まり

近年、環境配慮の観点から、バイオマスプラスチックの社会的な需要は非常に高まっています。
日本おいては、2019年5月に環境省が策定した「プラスチック資源循環戦略」*の1つに、プラスチック製容器包装・プラスチック製品の原料を、再生可能な資源から成るバイオマスプラスチック等に切替えていくことが盛り込まれています。また、2030年までに、バイオマスプラスチックを最大限(約200万トン)導入することを目指すという数値目標を掲げています。

*参照:環境省「プラスチック資源循環戦略」について

セルロースナノファイバー (CNF)

■セルロースナノファイバー (CNF)とは

CNF(セルロースナノファイバー)とは、ミクロフィブリル化セルロースやセルロースナノフィブリルとも呼ばれ、植物を構成しているセルロースを解繊した繊維のうち、幅3~100nm、長さ100μm未満の状態のものを指します。植物由来のCNFは、木材を原料とすることが一般的ですが、木材以外にも草本類、海藻、竹などからも生成することができます。

■セルロースナノファイバー (CNF)の特徴

CNFは、軽量かつ高強度などの優れた性質を持っています。またセルロースから生成されるため、再生可能資源であり、生分解性などの特徴を持ち合わせています。

 

また、CNFは複合樹脂の添加剤としても注目されています。従来、樹脂の強化に用いられてきたガラス繊維に比べCNFはリサイクル性が高いという特徴があります。

旭化成からのご提案 ①

バイオマス由来原料を活用したエンジニアリングプラスチック

旭化成では、温室効果ガスの排出抑制や石油資源の使用削減のため、バイオマス由来原料を活用したエンジニアリングプラスチックを積極的に開発しています。

マスバランス方式によるバイオマス由来原料を使用した樹脂材料(ISCC PLUS認証取得)

旭化成の変性PPE樹脂ザイロン™・POM樹脂テナック™は、マスバランス方式(*1)によるバイオマス由来の原料を使用したグレードを開発し、持続可能な製品の国際的な認証制度の一つであるISCC PLUS認証(*2) を取得しています。

バイオマス認証PPE

変性PPE樹脂ザイロン™では、マスバランス方式によるバイオマス由来のメタノール/フェノールを原料とするPPEとして、ISCC PLUS認証を取得しました。
バイオマス認証PPEは、既存の石化由来のPPEと同等の性能(耐熱性・難燃性・軽量・絶縁性・寸法安定性・低吸水性など)を保持しているため、幅広い用途でのサステナビリティ対応に貢献することができます。

 

また、ザイロン™では、PPEを様々な再生樹脂と混練したリサイクルグレードの開発や、お客さまとの協力関係によるリサイクルスキームの構築など、サステナブル社会の実現に向けて様々な取り組みを進めています。

  • バイオマス認証PPEなど「旭化成のサステナビリティ対応エンプラ材料」についての資料ダウンロードはこちら
  • PPEのISCC PLUS認証取得についてのプレスリリースはこちら
  • ザイロン™リサイクルグレードの詳細はこちら

POM樹脂テナック™ バイオマス認証グレード

POM樹脂テナック™は、マスバランス方式によるバイオマス由来のメタノールを原料とするPOMとして、ISCC PLUS認証を取得しました。
POM樹脂テナック™ バイオマス認証グレードは、既存の石化由来のPOMと同等の性能(優れた摩擦・摩耗特性、強度・剛性、耐油・耐有機溶剤性など)を保持しているため、幅広い用途でのサステナビリティ対応に貢献することができます。

  • テナック™ バイオマス認証グレードなど「旭化成のサステナビリティ対応エンプラ材料」についての資料ダウンロードはこちら
  • テナック™のISCC PLUS認証取得についてのプレスリリースはこちら

(*1)ISCC(International Sustainability and Carbon Certification):持続可能性および炭素に関する国際認証であり、ISCC PLUSはEU域外で生産され全世界に販売される主にバイオベースや再生由来等の原料について、サプライチェーン上で管理・担保する認証制度です。

(*2)マスバランス方式:バイオマス原料等と化石燃料由来の原料を混合供給し製品を製造した際に、投入したバイオマス原料等の割合に応じて、製品の生産量を割り当てるもので、ISCC PLUSシステム文書に定められ、認められた管理手法です。

植物由来ポリアミド (PA) 610 レオナ™ BGシリーズ

ポリアミド (PA) 610樹脂レオナ™ BGシリーズは、ポリマーの60%が植物由来となっているバイオマスプラスチックです。PA610は、セバシン酸とヘキサメチレンジアミンという2つの原料から作られます。このうち、セバシン酸は、ひまし油というトウゴマから得られる植物油の一種を原料としています。

 

PA66と比較すると、低吸水で寸法安定性が良く、耐薬品性・耐塩化カルシウム性にも優れます。
こうした特徴を活かして、自動車のラジエタータンク、各種ポンプ、センサー部品、電池部品等、様々な部品で用いられています。

  • レオナ™ BGシリーズなど「旭化成のサステナビリティ対応エンプラ材料」についての資料ダウンロードはこちら
  • レオナ™ BG230(PA610+GF33%) 物性表はこちら

バイオマス原料由来のポリアミド66樹脂レオナ™の実用化検討

旭化成では、現在、化石燃料由来のヘキサメチレンジアミン(HMD)を原料とする、耐熱性や強度・剛性に優れたエンジニアリングプラスチックであるポリアミド (PA)66樹脂レオナ™を製造しています。

 

2022年3月、カーボンニュートラルの実現に向けて、バイオテクノロジーを用いた多様な化学品の製造技術と商業化の実績を有するGenomatica社から、現在開発中のバイオHMDを優先的に利用する権利を取得しました。今後、このバイオHMDと当社が有するPA66のポリマー重合技術を活用し、 各種樹脂部品向けにバイオPA66を他社に先駆けて実用化することを目指します。

  • バイオマス原料由来のポリアミド66の実用化検討ついてのプレスリリースはこちら

旭化成からのご提案②

CNF強化プラスチック

旭化成のCNF強化プラスチックは、高耐熱CNFをPAやPOMと複合化した、軽量でリグラインド性に優れた材料です。比剛性、寸法安定性、摺動特性などに優れ、摺動部品の小型化・薄肉化・軽量化に貢献します。

旭化成のCNFの特徴

旭化成が開発するセルロースナノファイバー(CNF)は、コットンリンター原料をナノオーダーにまで高度に微細化したバイオマス素材です。

 

このリンターCNFは、高耐熱なバイオマスフィラー(充填剤)として樹脂を強化することができ、同じ製品の原料として再利用するマテリアルリサイクルが可能で、軽量であることが特徴です。また、高弾性率、低線膨張率、低摩擦係数、低摩耗性、高ガスバリア性など、優れた特性を備えています。

旭化成のCNFナノ分散技術

従来、CNFは非常に親水性が高く、樹脂中へ練り込もうとすると凝集してしまい、CNF本来の性質を発現できないという課題を抱えていました。

 

旭化成では、CNFを様々な樹脂にナノ分散させる技術を開発しており、CNF製造からCNFコンポジットまでの一貫製造プロセスを特徴としています。

CNF強化熱可塑性樹脂
  • CNF強化プラスチック(CNF強化熱可塑性樹脂)の詳細ページはこちら

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