Summary

  • ロボットは、役割に応じて「産業用ロボット」と「サービスロボット」に分類されます。
  • 産業用ロボットは、人間に代わって工場などで各種作業の自動化や効率化に用いられるロボットで、中でも、人と協働するcobotsは急速に成長している分野です。
  • サービスロボットは、主にサービス業で使われているロボットで、これから益々の導入・普及が期待されている分野のロボットです。
  • ロボットは人と協働するため、軽量化、形状の自由度アップが求められます。また、量産時の製造台数も増えるため製造コスト低減も重要になります。
  • 旭化成は、軽量かつ、強度・剛性、摺動性、耐クリープ性、電気特性などに優れた樹脂材料をご提案し、ロボット産業におけるお客様の製品作りをサポートします。

旭化成からのご提案

ロボットの定義・大分類

NEDOロボット白書*では、ロボットは「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」と定義されており、役割に応じて「産業用ロボット」と「サービスロボット」に分類されます。

「産業用ロボット」とは、人間に代わって工場などで各種作業の自動化や効率化に用いられるロボットを指し、製造現場などでは、人との協働ロボット(コボット、cobots)の導入が進んでいます。

 

また、「サービスロボット」とは、医療介護・物流・配送・清掃・家事等の業務・サービス支援を行うものと定義されており、各種サービス業ではロボットが対人サービスを提供し始めています。

*参照:NEDOロボット白書2014 | NEDO

産業用ロボット

■産業用ロボットとは

産業用ロボットとは、人間に代わって工場などで各種作業の自動化や効率化に用いられるロボットを指し、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット(スカラロボット)、パラレルリンクロボット、直行ロボット等があります。

 

現在最も多く使用されている産業用ロボットは垂直多関節ロボットであり、6つの関節で構成された6軸機構が主流になっています。関節の多さから複雑な動きができ、設置面積に対して動作範囲が広いことが特徴です。汎用性が高く、搬送、塗装・溶接、組み立て等幅広い工程で用いられています。

 

■産業用ロボットの構成

産業用ロボットは、「マニピュレーター」「コントローラー」「プログラミングペンダント」の3点で構成されています。

「マニピュレーター」はまさに腕であり、ロボットアームとも呼ばれます。「コントローラー」は、マニピュレーターを動かして制御し、「プログラミングペンダント」はマニピュレーターに動作を教える役割を持ちます。

■産業用ロボットのマニピュレーター(ロボットアーム)の構成

マニピュレーター(ロボットアーム)は、骨格・皮膚に相当するアーム、目・触覚等に相当するセンサー、筋肉に相当するアクチュエーターおよびアクチュエーターを構成するモーター・減速機から構成されています。

Structural components of industrial robots

1. Manipulators that execute motions and perform tasks.
2. Controllers responsible for operating manipulators and controlling their motion.
3. Programming pendants that tell manipulators how to operate.

■人と協働する産業ロボット(cobots)

これまで産業用ロボットを利用する際には、産業用ロボットを柵で囲い、人と作業空間を分ける必要がありましたが、2013年に施行されたISO/TS15066*の定める条件を満たせば、人間も産業用ロボットも同じスペースで作業が行えるようになりました。

こうした人との協働ロボットをcobotsと呼びます。人と協働する、小型なcobotsは急速に成長している分野です。

 

従来のロボットアーム部品は、高速・高精度を第一の品質要求としており、耐久性にも優れた金属材料で作られていました。しかし、金属は重量が重く、後加工を含めた製造コストも高いことが欠点です。ここで、製造コストを削減し、軽量化により製品の安全性を高めるために樹脂を利用することが考えられます。特に、小型な協働ロボットであるcobotsの製造に樹脂は最適です。

* ISO/TS15066は、人協働システムと作業環境の安全性に関する技術仕様書です。その他、ロボット本体の安全要求を規定した文書にISO10218があります。

協働ロボット

サービスロボット

■サービスロボットとは

サービスロボットとは、主にサービス業で使われている「人の役に立つロボット」の総称です。これから益々の導入・普及が期待されている分野のロボットです。

 

2014年にサービスロボットの国際安全規格ISO 13842が発行され、サービスロボットは「移動作業型」「人間装着型」「搭乗型」の3タイプに分類されました。

■移動作業型のサービスロボット

移動作業型のサービスロボットは、まさに移動するサービスロボットです。物流倉庫内で活躍しているAGV (Automated Guided Vehicle) や AMR (Autonomous Mobile Robot)、ラスト1マイルで注目されている自動配送ロボット、新型コロナウイルス感染症でニュースにも挙がった自動掃除・消毒ロボット、見回りロボット等が分類されます。

Categories of “service robots”

  1. Mobile servant robots: Service robots with motion capabilities. This category includes automated guided vehicles (AGVs) and autonomous mobile robots (AMRs) operating in fulfillment centers and warehouses; automated home-delivery robots of great interest for covering the much-discussed “last mile;” robots for automatic cleaning and disinfecting, which came to prominence in many news reports during the COVID-19 pandemic; and security robots for patrolling and monitoring premises.
  2. Physical assistant robots: Wearable robots that humans may affix to their bodies to provide various forms of physical assistance, such as aiding or reinforcing various types of operation. So-called power-assist suits fall into this category, which is growing in popularity for purposes such as facilitating the transition to an aging society and reducing bodily strain for physical laborers.
  3. Person-carrier robots: Robots that furnish components of personal-mobility strategies. Development and testing of technologies in this category, including automated driving technologies, is underway today.

■人間装着型のサービスロボット

人間装着型のサービスロボットは、人間が装着し、使用者を物理的に支援することで、動作の補助や補強を行うロボットです。いわゆる、アシストスーツが分類され、高齢化社会対応や労働者の身体的負荷の低減等を目的に普及しつつあります。

■搭乗型のサービスロボット

搭乗型のサービスロボットは、パーソナルモビリティの一環として使用されるロボットです。自動運転技術も含めた、開発・実証実験が進んでいます。

サービスロボットは人と協働することから、軽量化、形状の自由度アップが求められます。また、量産時の製造台数も増えていくことから製造コスト低減も重要になります。

旭化成からのご提案

ロボット部品向け樹脂材料・素材

旭化成では、ロボット産業におけるお客様の製品作りをサポートするために、高強度・高剛性な材料、摺動性に優れた材料、耐クリープ性に優れた材料、電気特性などに優れた樹脂材料をご用意しています。

例えば、骨格・減速機・アクチュエーター・歯車(ギア)・軸受(ベアリング)・モーター・電機部品等、それぞれの部品に合った特性の樹脂を用いることで、軽量化や製造コスト低減といった課題の解決が可能です。

ロボット機構部品向け樹脂材料・素材

ポリアセタール樹脂テナック™「MG210」

ポリアセタール(POM)は、その優れた機械物性と摩擦摩耗特性から歯車(ギア)や軸受(ベアリング)などの機構部品に使用される樹脂材料です。

 

旭化成のポリアセタール樹脂テナック™「MG210」は、POMの中でも機械特性に優れるホモポリマーに分類されます。MG210は、標準POM(コポリマー)よりも優れるホモポリマーの耐クリープ特性や疲労特性といった耐久性をさらに向上させたグレードです。



ロボットの歯車(ギア)や軸受(ベアリング)といった機構部品等にご使用いただくことで、製品の長寿命化・小型化に貢献いたします。

ロボット
  • ポリアセタール樹脂 テナック™「MG210」資料ダウンロードはこちら

CNF強化ポリアセタール樹脂

旭化成が開発するセルロースナノファイバー(CNF)は、コットンリンター原料をナノオーダーにまで高度に微細化したバイオマス素材です。また、旭化成ではCNFを様々な樹脂にナノ分散させる技術を開発しており、CNF製造からCNFコンポジットまでの一貫製造プロセスを特徴としています。

 

CNF強化POM樹脂は、旭化成の高耐熱CNFをポリアセタール(POM)樹脂と複合化したものです。摺動性、高温剛性、低収縮・低CTE、高温クリープ性能(対POM)といった特徴を有し、ロボットの歯車(ギア)や軸受(ベアリング)といった摺動部品の小型化・薄肉化・軽量化に貢献します。

CNF強化熱可塑性樹脂ギア
  • 軽量でリサイクル性に優れたCNF強化熱可塑性樹脂の詳細はこちら

ロボットの減速機向け樹脂材料・素材

ポリアミド樹脂 レオナ™

減速機はモーターから得た回転速度を減速・変速させ、必要な力を得るための変換器です。



旭化成は、ポリアミド(PA)樹脂の疲労特性を活かしつつ、耐摩擦摩耗に優れた開発材の開発を進めています。

レオナ用途事例

ロボットの制振・静音に貢献する樹脂材料・素材

変性ポリフェニレンエーテル樹脂 ザイロン™

変性ポリフェニレンエーテル (変性PPE) 樹脂 ザイロン™では、変性PPE樹脂の持つ難燃性・寸法安定性・耐熱性はそのままに、減衰特性を付与させた高損失係数の制振材をラインナップしています。高い損傷係数により、振動抑制効果を発現し静音設計に貢献いたします。

 

この他にも、モーターエンドキャップ、コネクター、高電圧部品等、旭化成の樹脂材料は幅広くご利用いただいております。詳しくは、下記よりお問い合わせください。

モノづくりをサポートします

樹脂CAEによるシミュレーション

旭化成のエンジニアリングプラスチック、樹脂材料を用いたお客様の製品設計に対して、樹脂CAEによる各種シミュレーションをご提供しています。


例えば、ロボット骨格で金属から樹脂への置き換えを図る場合、必要な強度スペックをクリアするために製品形状の最適化等が必要となります。



旭化成は、各樹脂の特徴を考慮したシミュレーション・最適化を行うことで、お客様のモノづくりをご支援いたします。

For more information, please contact us using the links below.

CAE
  • 樹脂CAE活用事例『ブレーキペダルブラケット​軽量化への挑戦』資料ダウンロードはこちら

旭化成のロボット部品向け樹脂材料に関するご質問・ご相談・サンプルのご依頼をお待ちしています。

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