燃料電池向け樹脂材料 エネルギー

Summary

  • 燃料電池 (Fuel Cell, FC) は、水素と酸素を反応させて水に変化させる過程で電気を発生させる次世代電池です。
  • コストの高さ、インフラ整備等の課題はありますが、利用時にCO2を排出しないクリーンさが特長であり、モビリティ、定置型等の用途で普及が期待されています。
  • FCにおける材料では、低イオン溶出性、耐加水分解性、高耐熱性等が求められます。
  • 旭化成は、燃料電池向けエンジニアリングプラスチック材料として変性ポリフェニレンエーテル樹脂 「ザイロン™ 500H」をご提案いたします。

旭化成からのご提案

燃料電池とは

燃料電池の特長と原理

燃料電池とは、水素と酸素を反応させ、水に変化させる過程で電気を発生させる電池です。
昨今注目される「水素社会」の実現おいて、水素活用方法の柱の1つとして、低炭素化への貢献が期待されています。

 

水素エネルギーは、利用時に二酸化炭素を排出しないクリーンさが特長です。
水素は二次エネルギーとして貯蓄が可能であり、エネルギー効率も高く、熱や電気として利用可能です。水素製造時にエネルギーを要しますが、再生可能、未利用、余剰電力由来の資源を有効活用することで、低炭素社会の実現に貢献できると考えられています。

 

燃料電池では、燃料となる水素を外部から供給し、空気中の酸素との電気化学反応により取り出される電気エネルギーを電力として活用します。
原理的には、水の電気分解の逆で発電します。水素が燃料極(負極)に触れると電子を離して水素イオンに変化します。取り出された電子は燃料極から空気極(正極)へ流れることで電気が発生します。燃料極で発生した水素イオンは電解質を通り、空気極で電子を取り込むために酸素と化合し、水へと変化します。

燃料電池のしくみ

燃料電池の仕組み (経済産業省 資源エネルギー庁HPを参考に弊社にて作成した図)

燃料電池の構成

燃料電池が発電を行う部品はスタックと呼ばれます。
スタックは、水素や酸素を流す流路を形成されたセパレーターと、MEA (Membrane Electrode Assembly)と呼ばれる触媒層と電解質膜とガス拡散層とシーリングも備えた電極接合体を組み合わせた「セル」を積み重ねる形で構成されています。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁HP

燃料電池の特徴と種類

燃料電池は、使用されている電解質の違いにより4つの種類があり、それぞれ発電効率や運転温度等が異なります。

 

  • リン酸形燃料電池 (PAFC, Phosphoric Acid Fuel Cell)
    PAFCは電解質にリン酸水溶液をセパレーターに含浸させたものを使用します。
    工場のコージェネレーションシステム等での運転実績が多いですが、白金触媒を用いるため高価なことがデメリットです。

     

  • 固体高分子形燃料電池 (PEFC, Polymer Electrolyte Fuel Cell)
    PEFCは電解質にイオン交換膜を使用したものです。
    白金触媒の使用により高価なことが課題ですが、運転温度が常温~90℃程度と低く、小型化が可能なこともあり、家庭用定置型や自動車用、携帯用などに適しています。

     

  • 溶融炭酸塩形燃料電池 (MCFC, Molten Carbonate Fuel Cell)
    MCFCは燃料に炭酸イオンを、電解質に溶融した炭酸塩を使用するものです。
    動作温度が700℃程度と高温であり、火力発電所や工場の発電設備の代替としての用途が期待されています。

     

  • 固体酸化物形燃料電池( SOFC, Solid Oxide Fuel Cell)
    SOFCは電解質にジルコニア系セラミックスを使用したものです。
    作動温度が最も高温(700-1,000℃)ですが、発電効率が最も高く、また白金触媒も不要なため、低コスト化が可能です。家庭用の燃料電池として実用化されています。

     

燃料電池の用途

燃料電池の主用途は、モビリティ向けと定置型向けです。
ともに、普及に向けて官民一体の動きが活発になっており、今後の本格的普及機に入るかどうかの正念場となっています。

モビリティ

モビリティ用途では、燃料電池自動車 (FCEV, Fuel Cell Electric Vehicle) とフォークリフトを含む商用車が中心となっています。
一般的に、コスト、水素ステーションの普及等のインフラの課題が残っており、まだ実用検討段階と言われていますが、フォークリフト等の商用車では既に普及し始めています。
フォークリフトの場合、工場や倉庫など限られた敷地内で稼働するため、インフラ課題の影響が少なくてすみます。また、FCEVでは数分間で長時間稼働に必要な水素を充填できることから、作業効率の向上に貢献しています。
フォークリフト以外でも、バスやトラックのような定点間を移動する大型商用車や、鉄道、船舶などへの応用も注目されています。

水素自動車

定置型

定置型燃料電池は分散型電源やバックアップ電源として家、工場、店舗、データセンター等に設置され、各所に電力を提供することが期待されています。
日本では、業務・産業用に対して家庭用燃料電池が先行しており、これまでに30万台以上が普及しています。各国と比べても先駆けて定置型燃料電池が普及していると言えます。今後も一層のコスト低減を目指すだけでなく、再生エネルギー発電の発電サイクルと組み合わせて電力系統の安定化に貢献する実証実験等が進められています。

燃料電池の用途 定置型

燃料電池材料の要求特性

これまで述べてきた通り、燃料電池は水素と酸素を元にして発電します。
そのため、大量の空気をスタックに運搬するコンプレッサー・水素循環ポンプ等の補機部品、ダクト、配管、継ぎ手等がスタックの回りに配置されています。

 

電子の授受に際して余計なイオンの存在は障害であり、トラブルを発生させるリスクとなるため、部品を構成する材料には、低イオン溶出性が求められます。
また、発生する水と熱に起因する加水分解や熱劣化を防ぐために、高温時の耐加水分解性等が材料に求められます。

旭化成からのご提案

変性ポリフェニレンエーテル樹脂 「ザイロン™ 500H」

旭化成は、燃料電池を構成するスタック周辺部品向け材料として、変性ポリフェニレンエーテル樹脂 「ザイロン™ 500H」をご提案いたします。

ザイロン™ 500Hの特長

  • 非強化耐熱グレード
  • 低溶出性
    樹脂からの溶出性 (イオン、オリゴマー等) が少なく、高評価を得ています。
  • 耐熱水性・耐酸性
    耐熱水性や耐酸性に優れ、長期間浸漬しても物性がほとんど低下しません。

詳細は、お問合せください。

変性ポリフェニレンエーテル樹脂 「ザイロン™ 500H」以外にも、ご紹介可能な材料や、実績のあるグレード等がございます。

詳細は、下記よりお問い合わせください。


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