活用提案
5G通信向け樹脂材料
ザイロン™とは
ザイロン™は、ポリフェニレンエーテル (PPE) と他樹脂を混合したポリマーアロイの総称です。
旭化成が製造販売を開始したのは1979年であり、エンジニアリングプラスチックにおいて長い歴史を持ち、XYRON™幅広いポリマーアロイのラインアップを備えています。
ザイロン™は、優れた複数の特性を有します。
高い耐熱性を備えた上、難燃性と絶縁性、寸法安定性、耐水性にも優れ、なおかつ低比重といった特長があります。さらに、相手となる他樹脂の特長も生かしながらPPEを添加することによって、PPEの特長との相乗効果を狙ったポリマーアロイです。
ザイロン™はこれまでに、自動車や家電をはじめとする幅広い業界の部品や筐体にご使用いただいてきました。
特に自動車においては、XYRON™低比重という特徴に加えて、耐熱性や難燃性も備えることから、搭載部品の軽量化を目的として、頻繁に採用いただいています。
ザイロン™活用のメリット
ザイロン™の母材であるPPEは、低誘電率、低誘電正接という特徴を備えることから、情報通信分野での適用に適しています。
また、PPEは、高いガラス転移温度を有しており、他の高耐熱性樹脂に比べて誘電特性の温度依存性が小さい点も特徴です。これは、さまざまな温度環境を想定される中で安定した通信品質を確保する上で、重要な利点です 。
5G通信対応スマートフォン端末シャーシ向け リサイクルPET/PPEアロイ
サステナブルな社会の実現に貢献する、5G通信対応スマートフォン(スマホ)端末のシャーシ向け樹脂材料として、ザイロン™リサイクルPET/PPEアロイをご紹介します。
旭化成では、PPEを様々な再生樹脂と混練することで、サステナビリティと機能性を両立するザイロン™のリサイクルグレードの開発を進めています。
ザイロン™リサイクルPET/PPEアロイは、PETボトル等の廃棄物由来のポストコンシューマーリサイクル樹脂を約40%活用しながら、XYRON™高い機械物性と低誘電特性をもつ素材です。
金属接合が可能であり、スマートフォン端末シャーシの高機能化(PBT+GF比のさらなる低誘電特性付与、リサイクル原料由来)を可能にする樹脂材料で、タブレットやノートPC(ラップトップ)の同様の機構部品にも応用可能です。
5G通信対応スマートフォン端末MIDアンテナ向け樹脂材料
5G通信対応スマートフォン端末のMIDアンテナ向け樹脂材料として、ザイロン™のグレード開発を進めています。
この開発グレードは、低誘電率、低誘電正接、耐加水分解性に優れています。この材料(素材)をMIDアンテナとした場合には、従来使われてきたポリカーボネート (PC) 系材料と比較して、トータル効率が最大で1dB改善するシミュレーション結果も得られています*。
これにより、対応周波数の増加やデバイスの高機能化に伴う設計スペースの制限といった課題の解消に貢献します。
*当該開発グレードは試作段階であり、量産時の性能を保証するものではありません。