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熱マネジメント

軽量化による電費向上に貢献する
EV/FCV水冷式・冷却配管(パイプ)向け押出成形樹脂材料

Summary

  • 全世界的に急速に普及が進むEV(Electric Vehicle: 電気自動車)では、電池を0℃~45℃の適正温度に保つための熱マネジメントが重要になっており、特に、冷却効率の優れる水冷式の熱マネジメントシステムが広がっています。
  • 水冷式の熱マネジメントシステムにおいて、重要性を増している部品が、各コンポーネントを繋げる冷却配管(パイプ)です。
  • 自動車の配管では、これまで主に金属等が用いられてきましたが、樹脂による代替が進んでおり、軽量化・長尺化のメリットから樹脂パイプの市場拡大が予想されています。
  • 旭化成は、軽量化による電費向上に貢献する、水冷式冷却配管(パイプ)向けの押出成形用樹脂材料と技術支援をご提案します。

旭化成からのご提案

バッテリーEVにおける水冷式の熱マネジメントシステムの拡大と冷却配管

全世界的に急速に普及が進んでいるBEV(Battery Electric Vehicle: 電気自動車)では、主にリチウムイオンバッテリーが用いられており、0℃~45℃の適正温度に保つための熱マネジメントが重要になっています。特に、近年のトレンドとしてのバッテリーの大容量化、充電時間短縮のための高電圧化が進んでいる結果、冷却効率の優れる水冷式の熱マネジメントシステムが広がっています。(関連ページ:バッテリーEVの熱マネジメントシステムを構成する樹脂材料

 

水冷式の熱マネジメントシステムにおいて、重要性を増している部品が、各コンポーネントを繋げる冷却配管(パイプ)です。

 

自動車の配管では、これまで主に金属やEPDM等が用いられてきました。水冷式熱マネジメントシステムの冷却配管においては、環境温度がこれまでのエンジン車条件に比べて下がるため、樹脂による代替・軽量化が進んでいます。また、バッテリーの大型化等に伴い、コンポーネントを繋げる距離も長くなっていることから、押出成形で長尺の配管を製造することが増えています。軽量化・長尺化のメリットから樹脂パイプの市場拡大が予想されています(富士経済)。

 

水冷式冷却配管においては、搭載される車種・場所によって、材料が使い分けられます。例えば、強度(耐圧性)を重視するならアルミ配管、柔軟性を重視するならゴム配管、軽量化を図るなら樹脂配管、といった具合です。
樹脂配管においても、環境温度域・強度・耐久性・柔軟性の要求等により材料が使い分けられますが、柔軟性に優れるPAが主に使用されます。

 

旭化成は、上記の水冷式熱マネジメントシステムの冷却配管向けに、2つの構成をご提案いたします。
1. 多層配管向け樹脂材料:内層が変性PPE樹脂ザイロン™、外層がポリアミド612樹脂レオナ™の組み合わせ
2. 単層配管向け樹脂材料:ポリアミド612樹脂レオナ™

旭化成からのご提案

旭化成は、軽量化による電費向上に貢献する、水冷式冷却配管(パイプ)向けの押出成形用樹脂材料と技術支援を提案します。

多層配管向けのご提案:内層変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層ポリアミド (PA) 612樹脂レオナ™の組み合わせ

温度領域が135℃以下の、EV・FCV向け水冷式配管において、曲げ加工性、低溶出性、耐LLC性に優れる材料の組み合わせをご紹介します。内層に変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層にPA612樹脂レオナ™を組み合わせた樹脂配管です(層構成イメージ図参照)。

曲げ加工性、低溶出性、耐LLC性に優れる内層変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層ポリアミド (PA) 612樹脂レオナ™の組み合わせ 多層配管

内層ザイロン™ / 外層レオナ™ 多層配管

内層変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層ポリアミド (PA) 612樹脂レオナ™の組み合わせ 層構成

層構成

内層に変性PPE樹脂ザイロン™を用いた樹脂配管には、以下4つの特徴があります。

 

  1. 曲げ加工性
    曲げ戻りが小さいため、加工時間を短縮できコストダウンに繋がります。また、レイアウト自由度が向上する可能性があります。
  2. 低溶出性
    溶出イオン量が少なく、冷却液の導電率変化を小さく抑えることができるため、冷却液が漏洩した場合の車両火災リスク低減と、FCVにおけるイオン交換樹脂の交換頻度減に貢献できる可能性があります。
  3.  耐LLC性
    内層がPPの樹脂配管と同等の優れた耐LLC性を持ちます。
  4.  耐圧性
    変性PPE材は高温での耐圧性に優れ、薄肉化・軽量化に貢献できる可能性があります。

 

また、内層変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層PA612樹脂レオナ™の組み合わせにおいて、接着層を設けずに2層で成形可能なため、トータルとしてコストダウンに繋がる可能性があります。

 

以下表では、各種材料における配管・パイプの特徴を例示しています。内層変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層PA612樹脂レオナ™の組み合わせを一番左に示します。

 

各種材料における配管・パイプの特徴

各種材料における配管・パイプの特徴

特徴1. 曲げ加工性

限られた車両空間を縫うように配置する配管部品において、曲げ加工性は重要であり、内層変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層PA612樹脂レオナ™の組み合わせを、内層PP樹脂 / 外層PA612の組み合わせと比較評価しました。

 

内層PP樹脂 / 外層PA612の組み合わせでは、高温環境での曲げ戻り角度が大きいですが、内層変性PPE樹脂ザイロン™ / 外層PA612樹脂レオナ™の組み合わせは、曲げ戻り角度を大幅低減できることを示しました。曲げ戻りが少ないことから、加工時間短縮によるコストダウンが期待できます。また、他部品との干渉リスクを低減し、レイアウト自由度が向上する可能性があります。

ザイロン™/レオナ™ 多層パイプ 曲げ加工性の比較

曲げ加工性の比較

特徴2. 低溶出性

BEVの熱マネジメントのトレンドとして、冷却液の絶縁性・導電率が挙げられています。冷却液の導電率が上昇すると、BEVにおいては漏洩時の車両火災リスクが増大し、FCV(Fuel Cell Vehicle, 燃料電池自動車)においてはFCスタック間に冷却液が流れるため、通電してしまうリスクが増大します。BEV・FCVでは、冷却液の絶縁性・導電率を保つために、配管材料にも各種イオンの低溶出性が必要とされています。

 

ここでは、樹脂配管材料としてご提案する、変性PPE樹脂ザイロン™、PA612樹脂レオナ™と、PA612, PA12, PP材の溶出性を比較しました。結果、内層としてご提案する変性PPE樹脂ザイロン™においては、PA612, PA12対比で導電率が大幅に低減していることが示されました。
このことから、BEVにおいて冷却液が漏洩した場合の車両火災リスク低減と、FCVにおけるイオン交換樹脂の交換頻度減に貢献できる可能性があります。

ザイロン™/レオナ™ 多層パイプ 溶出性の比較

溶出性の比較

ダウンロード資料では、上記各特徴について評価方法と結果を示していますので、下記リンクよりダウンロードください。
ご不明点・ご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

単層配管向けのご提案:PA612樹脂レオナ™ 押出成形向け開発材

単層の配管向けには、PA612樹脂レオナ™押出成形グレードをご提案します。

PA612は柔軟性・耐加水分解性・耐熱老化性・耐薬品性などの特徴を持ち、冷却配管に適した材料です。

弊社はPA612の押出成形材料として複数弾性率のグレードラインナップを持ち、性能⇔コストのバランスに優れる材料をご提案します。

PA612樹脂レオナ™ 押出成形向け開発材 単層配管

PA612樹脂レオナ™ 押出成形向け開発材 単層配管

PA612樹脂レオナ™押出成形向け開発材 物性表

PA612樹脂レオナ™ 押出成形向け開発材 物性表

注)これらの物性は定められた試験法に基づいて得られた代表値であり、保証値ではありません。個々の用途に最適なグレードを選ぶ目安としてご参照ください。なお、これらの数値は物性改良のため変更することもあります。試作品は、量産時に物性値が変わる場合があります。

 

ダウンロード資料では、上記に加えて、パイプを用いた実用評価方法と結果を示していますので、下記リンクよりダウンロードください。
ご不明点・ご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

技術支援

旭化成で実施可能な試験・評価内容

旭化成では、材料評価から実用評価まで行うことができ、お客様のニーズに沿った開発を共に進めさせていただきます。

実施可能な評価項目例は、以下の通りです。

・ パイプの押出成形(~2層の直管、~3層のコルゲート形状)
・ パイプ形状での引張試験
・ 破裂圧力試験
・ 導電率測定
・ イオン溶出試験
・ 曲げ戻り性評価試験
・ LLC封入耐久試験
・ 耐熱劣化試験

評価・試験イメージ

旭化成で実施可能な試験・評価内容の一例

お困り事や気になる特性などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。


旭化成の水冷式・冷却配管向け押出成形樹脂材料に関する
ご質問・ご相談・サンプルのご依頼をお待ちしています。

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