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グローワイヤー試験(IEC 60695)とは
ー製品試験免除のための材料選定のポイントー

家電や電気部品の安全評価に不可欠なグローワイヤー試験(IEC60695)の概要と、最終製品のグローワイヤー試験(GWEPT)免除に必要な材料選定ポイントをご紹介します。

更新日:

2026.09.17

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公開日:

2026.09.17

column_glow-wire_main

なぜグローワイヤー試験が必要なのか

冷蔵庫やエアコンといった無監視運転される家電製品や、電気ケトルのように高温になる電気製品は、スイッチや接点部における異常(短絡・アーク・接触不良)による発火リスクが潜んでいます 。このため、これらの家電製品に使用される樹脂製部品は、出火自体を防ぐために高い「耐着火性」が要求されています(例:IEC 60335-1)。

column_glow-wire_01家電火災の原因例

耐着火性を評価するための試験としてのグローワイヤー試験(IEC 60695)

従来、樹脂の難燃性評価にはUL(Underwriters Laboratories(米国保険業者安全試験所))発行のUL94で定められた垂直燃焼試験(下図)が広く用いられてきました。この試験は、外部からの「直接の炎」に対する燃えにくさや延焼の遅さを評価するものであり、人間が逃げる時間を作るという観点では優れた評価方法です。

UL94 垂直燃焼試験UL94 垂直燃焼試験

しかしながら、火災発生リスクの抑制、すなわち実際の家電機器で起こりうる過電流による発熱での耐着火性の評価方法として、国際電気標準会議(IEC)により導入されたのがグローワイヤー試験(IEC 60695)(下図)です。この試験は、加熱した電熱線を試験片に押し付けて発火の有無や燃焼挙動を観察することで耐着火性を評価します(動画)。

グローワイヤー試験方法グローワイヤー試験方法

グロ―ワイヤー試験様子

グローワイヤー試験(IEC 60695)の概要

グローワイヤー試験は大きく分けて下記の「最終製品に対する試験」と「樹脂材料に対する試験」の2つに分類されます。

対象 規格 試験内容
最終製品 GWEPT (Glow Wire Test, performed on end product、
最終製品のグローワイヤー試験 / IEC 60695-2-11)
コネクターなどの完成した最終製品(コンポーネント)そのものに対して実施される試験。
樹脂材料 GWFI (Glow Wire Flammability Index、
グローワイヤー燃焼性指数 / IEC 60695-2-12)
樹脂板からグローワイヤーを引き離した後、30秒以内に火が消え、かつ滴下物による発火が発生しない最高温度。
GWIT (Glow Wire Ignition Temperature、
グローワイヤー着火試験 / IEC 60695-2-13)
樹脂板にグローワイヤーを押し付けている間、5秒以上発火を起こさない最高温度。

最終製品のグローワイヤー試験の免除ルール

家電機器の安全性規格(IEC 60335-1)では、電流が0.2Aを超えて無監視運転される家電製品に対して厳しい要件を課しています。しかしながら、樹脂材料がグローワイヤー試験の認定を取得していれば、最終製品のグローワイヤー試験(GWEPT)を免除されるルール(下図)があります。
下記要件を満たす材料を使用することによりGWEPTは免除されます。

最終製品のグローワイヤー試験(GWEPT)免除判断フロー図最終製品のグローワイヤー試験(GWEPT)免除判断フロー図

グローワイヤー試験の課題:最終製品のグローワイヤー試験での不合格

規格上は、GWIT 775℃でGWEPT試験を免除できますが、ここで注意すべき点があります。上記ルールを満たす材料を使用しても、製品形状(壁厚の変化や空気の隙間の有無など)によって熱の伝わり方が変わるため、実際にGWEPTを実施すると不合格になるケースが確認されています。そのため、最終製品における設計変更や評価ばらつきのリスクを低減する観点からは、要求基準であるGWITにおいて 775℃を満足するだけでなく、GWITにおいてより高い認定温度を有する材料を選定することが有効です。

また、GWITは「規定条件下で着火した場合でも燃焼継続時間が5秒未満であること」を確認する試験であり、無着火を保証する試験ではありません。そのため、GWIT認定温度と実際の無着火温度は同等になるとは限らず、認定材料間で差が生じる場合があります。

高グローワイヤー材料の課題:難燃剤の増量に伴う靭性低下

一方でGWITが800℃を超える高グローワイヤー材料は、一般的に難燃剤が多く添加されます。難燃剤の添加量が多くなると、樹脂材料は靭性(割れにくさ)の面で課題を持ちます。樹脂材料の靭性が低いと下記のような製品不良が発生しやすくなります。

  • コネクターなど部品を固定するスナップフィットの変形に耐えられず割れる(下図:左)
  • ネジ締め(セルフタッピング)時にボスが耐えきれず割れる(下図:右)

スナップフィット、ボス靭性が必要な構造例

ご提案:
課題を解決する材料「レオナ™ 高グローワイヤー難燃グレード」(開発品)

信頼性の高い製品には、安全性を担保するための耐着火性と組付け時の高い靭性が必要です。これまで高グローワイヤー性と靭性を両立することは困難とされてきました。

しかし、弊社では独自の配合と優れたコンパウンド技術により、この二つの相反する特性を兼ね備えたレオナ™ 高グローワイヤー難燃グレード(開発品)を開発しました。社内テストにおいてGWIT 850℃(3mm厚)の実力を有していることから最終製品での試験免除となる可能性があり、さらに800℃ (3mm厚) での無着火を確認しています。これは、規格認定上の性能だけでなく、最終製品評価における設計マージンの確保、および設計変更リスクの低減に寄与できると考えています。

→ レオナ™高グローワイヤー難燃グレード(開発品)についての詳細はこちら

旭化成では、グロ―ワイヤー耐性に優れる品番を用意しております。高グロ―ワイヤー対応材料についてお気軽にお問い合わせください。
旭化成では、用途・目的に合わせてグローワイヤー試験(IEC 60695)に対応したエンジニアリングプラスチックをご提案しています。ご質問・ご相談・サンプルのご依頼など、お気軽にお問い合わせください。

執筆者紹介

横尾 亮佑(旭化成株式会社/機能材料用途開発部)
2016年に旭化成株式会社に入社。技術開発部にて、レオナ™難燃グレードの材料設計・開発を経験。現在は、機能材料用途開発部にて、難燃ポリアミドを中心とした材料提案やテクニカルサービスを担当。グローワイヤー試験やUL規格など、電気・電子部品向け材料に求められる安全性評価を踏まえた用途開発に従事

執筆者紹介

樋渡 堅太(旭化成株式会社/機能材料用途開発部)
2017年に旭化成株式会社入社。レオナ™ Sシリーズ、PNシリーズなど難燃グレードを中心に、テクニカルエンジニアとして顧客への用途提案やテクニカルサービスに従事。

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