レンセン™ CAEソリューション
― 材料の力を設計へつなぐ

2026.03.23

レンセン™CAEソリューション

技術・製品紹介

はじめに

連続繊維強化熱可塑性複合材料レンセン™は、軽量化と高強度・高剛性を同時に実現する次世代材料です。しかし、その優れた性能を製品設計で最大限に引き出すためには、材料特性を正確に再現する高度なCAE技術が欠かせません。
旭化成は材料メーカーとしての深い知見と、最先端の解析技術を融合し、「材料+CAE」一体型の統合ソリューション を提供しています。
レンセン™CAEは、企画・設計から量産準備までの開発プロセスをトータルで支援し、お客様の製品開発を強力に加速します。

レンセン™とCAEの統合ソリューション図1 レンセン™とCAEの統合ソリューション

連続繊維複合材料設計の課題

レンセン™のような連続繊維複合材料は、金属や一般的な樹脂材料とは設計思想が大きく異なります。

  • 繊維方向に強く依存する異方的な強度特性
  • 積層構成によって大きく変化する性能
  • プレス成形過程で生じる繊維配向の変動
  • 成形プロセスと構造特性が密接に連動する挙動

このように、材料特性そのものが極めて複雑であることに加え、成形プロセスの難易度も高いため、従来の設計手法では性能を正しく予測することが困難です。
その結果、設計の初期段階で適切な構造や材料構成を判断することが難しく、試作と評価を何度も繰り返さざるを得ないケースが多く発生します。
特に金属材料を前提としてきた設計者にとっては、要求性能を満たせるかどうかを事前に見通しにくく、複合材料の採用そのものが大きなリスクとして感じられてしまうという課題があります。

だからこそ、材料特性と成形挙動を正確に再現し、設計リスクを最小化できる――レンセン™専用の高精度のCAE技術が不可欠 となります。

金属設計と連続繊維複合材料設計の違い図2 金属設計と連続繊維複合材料設計の違い

レンセン™CAEの全体像 ― 設計を支える4本柱

レンセン™CAEの最大の特長は、
最適設計 → 賦形解析 → 繊維配向マッピング → 構造解析
という一連のプロセスを、シームレスかつスピーディーに回せる点にあります。

  • 製品の初期構想段階では、まず要求性能を満たす形状や材料構成をCAEで素早く検討します。
  • その設計案をもとに賦形解析を実施し、実際のプレス成形過程で生じる繊維の流れや変形を高精度に予測します。
  • さらに、その結果を繊維配向マッピングによって構造解析モデルへ反映し、実際の成形状態を忠実に再現した解析評価を行います。
  • 構造解析の結果は再び最適設計へとフィードバックされ、必要に応じて形状や積層構成を再検討します。

これら4本柱をシームレスに連携させることで、材料特性を最大限に活かした合理的な製品設計を実現します。

レンセン™CAEのプロセス図3 レンセン™CAEのプロセス

―― 最適設計

要求性能を満たす最適な材料構成・形状を効率的に導出します。
初期検討段階からCAEを活用することで、設計の方向性を迅速に決定できます。

最適設計のフロー図4 最適設計のフロー

―― 賦形解析

プレス成形時の繊維の流れや変形挙動を高精度に予測します。
成形プロセスを考慮した現実的な設計検討を可能にします。

成形シミュレーション動画(せん断変形角度)図5 成形シミュレーション動画(せん断変形角度)

反り変形量の予測(反り変形量)図6 反り変形量の予測(反り変形量)

―― 繊維配向マッピングによる高精度な構造解析

賦形解析の結果を構造解析モデルへ反映し、実際の繊維状態を忠実に再現します。
成形と構造をつなぐ、レンセン™CAEの重要な中核技術です。
強度・剛性・耐久性などを総合的に評価し、実機に近い信頼性の高い設計判断を支援します。

成形を考慮し、実際の状態を忠実に再現した構造解析図7 成形を考慮し、実際の状態を忠実に再現した構造解析

実績に裏付けられた信頼性

旭化成のレンセン™CAEは、多くの実製品開発での検証と実験評価に基づいて構築されています。実機試験結果とCAE解析結果の高い一致性により、設計段階での性能予測精度を大幅に向上させています。
さらに、金属部材や射出成形樹脂とのマルチマテリアル解析にも対応し、実製品に即した複合構造設計を可能にしています。実開発で蓄積された知見が、信頼性の高い設計検討を支えています。

実験結果と高い一致性を示す、レンセン™ CAEの検証結果図8 実験結果と高い一致性を示す、レンセン™ CAEの検証結果

CAEを起点とした実践的な部品提案

レンセン™CAEの大きな特長は、CAEによる検討を、そのまま“具体的な部品提案”へ直結できる点です。
お客様から現行の部品情報設計案コンセプト、あるいは初期段階のアイデアといった情報をいただければ、旭化成ではCAEを活用して短期間で技術検討を実施します。
その検討結果をもとに、レンセン™での実現可能性評価や最適な構造コンセプトを提示し、設計初期段階からレンセン™適用の可能性を具体的に検討できるよう支援します

短期間で部品提案を可能にする レンセン™ CAE図9 短期間で部品提案を可能にする レンセン™ CAE

高速CAE提案を支える材料モデル迅速構築技術

連続繊維複合材料は破壊挙動が極めて複雑であり、正確なモデル化が難しい材料です。
旭化成では、この高度な材料を短期間で実用的な解析モデルへ落とし込む独自の仕組みを構築しています。

お客様の用途・条件に合わせて、

  • グレード
  • 温度環境
  • 吸水状態
  • 使用条件

に応じた物性測定とパラメータ同定を迅速に実施。
最適化された材料モデルを即座に構築し、実設計に直結する解析提案を行います。

高い解析精度とスピードの両立――それこそが、レンセン™CAEの最大の強みです。

連続繊維複合材料のモデル構築図10 連続繊維複合材料のモデル構築

レンセン™検討サポート

レンセン™の適用検討は、構想段階からご相談いただくことが可能です。
現行部品の置き換え検討や初期アイデアの段階でも、CAEを活用した技術検討により、実現可能性や構造コンセプト、想定コストの方向性を早期に確認できます。
「まだ設計が固まっていない」
「材料適用の可能性だけ知りたい」

といった段階からでも問題ありません。
旭化成では、材料メーカーとしての知見とCAE技術を組み合わせ、開発フェーズに応じた最適な検討プロセスをご提案します。レンセン™の採用検討やCAE解析に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

ご相談内容の例

  • 金属部品の軽量化・樹脂化検討
  • レンセン™適用可能性の評価
  • 構造成立性・強度検討
  • 成形成立性の事前評価
  • 概算コスト検討・部品提案

参考:旭化成の技術サポートについて

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