製品
比重が小さく、難燃性、電気特性、寸法安定性に優れます。太陽光発電、EV、通信機器等に採用されています。
電気自動車(EV)や多数のサーバーを運用するデータセンターでは、冷却性能に優れる冷媒を使用した間接冷却(間接液冷・コールドプレート方式)が多く使用されています。間接冷却では、冷媒(クーラント)を循環させるウォーターポンプに対して軽量化、高寸法精度、長期耐久性、量産性が求められています。
ウォーターポンプの筐体が金属の場合、以下の課題が発生します。
このため、ウォーターポンプの筐体には、ポリフェニレンサルファイド(PPS)が多く使用されてきました。しかしながら、PPSは射出成形時に腐食性ガスが発生するため、高価な耐腐食仕様の成形機や金型の使用が必要というデメリットがありました。
旭化成は、クーラント耐久性と寸法精度に優れ、腐食性ガスを発生させない変性PPE樹脂「ザイロン™」を活用したウォーターポンプの樹脂化をご提案します。
ザイロン™は、ポリフェニレンエーテル (PPE) と他樹脂とのポリマーアロイの総称です。旭化成では、幅広いポリマーアロイのラインナップを備え、顧客・市場ニーズに合わせた新規カスタマイズグレードも積極的に開発しています。
変性PPE樹脂は優れた低吸水性、高寸法精度を有しており、これらの特長を活かして給排水用途において採用実績があります。ウォーターポンプでも要求温度条件によっては、PPSより軽量で寸法精度に優れるザイロン™ G733Hへの置き換えが可能と考えます。
特にウォータポンプのように厚肉で大型の部品では、ザイロン™ G733H(比重*:1.28g/cm3)は一般的なGF強化PPS(比重*:1.53g/cm3)と比較して約17%の軽量化が可能です。
| 特長 | 利点 | ザイロン™ G733H (GF30%) |
一般PPS 高靭性タイプ |
|---|---|---|---|
| クーラント耐性 | 長期信頼性 | 良好 | 良好 |
| 成形時の腐食性ガス発生 | 成形設備・金型コスト低減 | 無し | 有り(コストUP) |
| 収縮率・収縮異方性 | シール性や回転部品精度向上 | 小さい | 大きい |
| 比重 | ポンプ軽量化 | 小さい | 大きい |
| バリ | 後処理の削減 | 小さい | 大きい |
特長比較表
特に近年では、EVやデータセンターでは事故や災害時にクーラントが漏洩し、電気機器に接触した際の漏電による二次災害を防ぐため、導電率の低い「低導電率クーラント」の使用が増加しています。
低導電率クーラントには、従来のクーラントと異なる種類の防錆剤など添加剤が添加されていますが、ザイロン™ G733Hはこの低導電率クーラントにも優れた耐久性があることが確認されました。*
上記結果からザイロン™ G733HはPPSと同程度の強度を維持していました。
またザイロン™ G733Hの引張破断歪みはPPSより良好なため、インサート成形や組立で使用する金属部品近傍でのクラック抑制が期待されます。
PPSは射出成形時に腐食性ガスが発生するため、生産設備は耐腐食性のある高価な射出成形機や金型を使用する必要があります。
一方「ザイロン™ G733H」は成形時に腐食性ガスが発生しないため、耐腐食仕様が不要となり設備投資やメンテナンスコスト低減に貢献します。
以下は「ザイロン™ G733H」とPPSの金属腐食性の評価結果です。PPS由来のガスを暴露した金属板では腐食成分によって錆が発生しましたが、ザイロンでは錆が発生しませんでした。
ウォーターポンプは内部に冷媒が充満するため、部品が設計通り隙間なく密着する必要があります。このため、樹脂は収縮率の異方性(MD方向とTD方向の差)が小さいほど好ましいです。
ザイロン™ G733Hは、PPSよりも収縮率の異方性が小さいです。このため、ザイロン™ G733Hはシーリング性にも優れています。
無料ダウンロード資料では、以下を含む詳細データを掲載しています。
*これらの物性値は、定められた試験法に基づいて得られた実測値です。規格値ではありません。これらの数値は物性改良のために変更することがあります。
ウォーターポンプ以外の冷却部品への適用検討や設計検討をご希望の場合は、お気軽にお問い合わせください。